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日本の医療の未来を支える外国人看護師たちは…

石山絵歩・外信部記者
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手術室で働く陳美彤さん(左)と趙成程さん。2人とも中国出身で日本の大学院でも看護を学びたいという=埼玉医科大国際医療センターで2018年2月、石山絵歩撮影
手術室で働く陳美彤さん(左)と趙成程さん。2人とも中国出身で日本の大学院でも看護を学びたいという=埼玉医科大国際医療センターで2018年2月、石山絵歩撮影

 高齢化・人口減少が深刻化する日本で人手不足が叫ばれる医療現場には、いまや外国人の姿も珍しくなくなった。看護師不足が叫ばれる日本だが、他の先進国や新興国より好待遇とは言い切れないのが実情だ。そんな日本に、彼らは何を求めてやってくるのだろうか。

 今年の看護師国家試験の合格者が、3月19日に発表された。日本と、インドネシアやフィリピンなどの各国間で結ばれた経済連携協定(EPA)による外国人看護師候補生の受け入れが2008年に始まってから10年以上となった。しかし国家試験の合格率は、受験生全体の89.2%に対し、EPAによる外国人受験生は11.1%で依然として低い水準にとどまっている。そんな中、日本語学校の看護師養成プログラムを経て看護師となる中国人が増えている。

仕事ぶりが中国とは「ちょっと違う。特に会話力!」

 「日本の看護師は実力がちょっと違います。特に会話力です! それを学ぶため日本に来ました」。埼玉医科大国際医療センターで看護師として働く中国出身の陳美彤さん(26)はそうハキハキと話した。15年、中国の看護大を卒業後に来日。1年間の猛勉強で日本語能力試験N1(1~5があり、1が最も難しい)に合格し、17年には看護師の国家試験に合格した。同センターでは主に手術室で働く(2018年当時)。

 中国の病院では、着替えなど患者の身の回りの世話は家族が泊まり込みでやり、看護師は血圧や体温などを測るのみ。患者とのコミュニケーションはほとんどないという。「患者さんが多くて忙しいので話す余裕もありません」と話す陳さんにとって、同センターの先輩看護師と患者のやりとりは一つ一つが勉強だ。

 先輩看護師は手術前の患者に声をかけて長い時間聞き役に徹したり、血圧などの結果を見て、術後に起こりうることを説明したりする。「話すことで患者さんは安心する。会話から分かることもあって、術後のトラブル防止にもな…

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石山絵歩

外信部記者

1984年生まれ、2008年に毎日新聞社入社。岐阜・愛知県警、東京地検担当を経て、東京地・高裁で刑事裁判を担当。事件取材の傍らで、経済連携協定(EPA)によって来日したフィリピン・インドネシアからの看護師、介護士候補生などを取材。18年9月~19年5月、フルブライト奨学金ジャーナリストプログラムで南カリフォルニア大(USC)に在籍し、家事労働者について研究。