クトゥーゾフの窓から

揺れるベラルーシ きしむ対露関係 間隙突く米国

大前仁・外信部副部長
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会談するプーチン(右側の手前から2人目)とルカシェンコの両大統領(左側の手前から2人目)=2020年2月、ロシア大統領府のホームページから
会談するプーチン(右側の手前から2人目)とルカシェンコの両大統領(左側の手前から2人目)=2020年2月、ロシア大統領府のホームページから

 旧ソ連のベラルーシは長年、隣国ロシアに経済を依存してきたが、近年は関係が揺らいでいる。一方で米国はベラルーシの強権政治を批判してきたが、2019年から高官が相次いで同国を訪れるなど、ロシアとの関係悪化の間隙(かんげき)を突く格好で接近を図っている。米露両国が絡んだベラルーシ情勢を追ってみた。

 ロシアは長年、ベラルーシに国際価格より安値で原油を輸出し、同国が精製した石油製品を第三国へ輸出する経済を支えてきた。しかし20年のロシア産原油の価格交渉は4月中旬の時点で正式にまとまらず、ロシアはベラルーシ向けの輸出量を減らしている。3月にはロシアがサウジアラビアと原油市場の奪い合いを激化させると、ベラルーシはサウジ産原油の輸入を検討するなど、ロシアとの不協和音が目立つ。

 あつれきが顕著になったのは18年末だった。ロシアは14年にウクライナ南部のクリミアを強制編入した代償として、欧米諸国から経済制裁を課されて苦境に陥っており、従来の水準でベラルーシを支援するのが難しくなっている。19年からベラルーシ向けの原油価格を段階的に値上げし、24年に国際価格に移行する方針を通告したが、ベラルーシ側は抵抗している。

 ロシアの狙いは経済的なものだけではないという見方もある。ロシアはベラルーシ国内でのロシア軍基地建設を求めており、ベラルーシにとって生命線といえる原油供給を人質にして揺さぶっているというのだ。

頓挫した統合構想

 両国の関係に触れてみよう。人口約950万人のベラルーシは、帝政ロシアやソ連の一部だった歴史が長く、民族的にも文化的にもロシアに近い。両国はソ連崩壊(1991年)から数年後、国家統合を検討し始めた。94年に関税同盟を結成、99年に「連合国家創設条約」を結び、00年に緩い結びつきの「連合国家」を発足させた。

 当時のエリツィン露大統領(故人)は指導力を低下させており、隣国との統合を…

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大前仁

外信部副部長

1969年生まれ。2008~13年、18~20年にモスクワ支局勤務。現在は旧ソ連諸国や米国の情勢、日露関係を担当。