麗しの島から

民主主義の台湾が徹底した防疫に成功しているのはなぜか

福岡静哉・台北特派員
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記者の質問に答える蔡英文総統(左)と陳時中・本部長=台北市の総統府で2020年4月1日、福岡静哉撮影
記者の質問に答える蔡英文総統(左)と陳時中・本部長=台北市の総統府で2020年4月1日、福岡静哉撮影

 新型コロナウイルス対策では一定の私権の制限を伴うため、「強権的な国家の方が効率よく防疫ができるのではないか」といった意見を目にすることがある。しかし民主主義体制の台湾は、今のところ感染拡大を食い止めるのに成功している。21日現在、感染者数は425人で、死者は6人にとどめている。私権を制限する一定の措置を取っているものの、目立った反発は起きていない。どのようにして防疫と人権のバランスを図っているのか。背景を探った。

 私は3月下旬、所用で訪ねた民間病院で思わぬ体験をした。入り口で病院職員に、台湾の健康保険カードをカードリーダーに挿入するよう指示された。職員はデータを読み込んだパソコン画面を見つめ、こう言った。「1月下旬に台湾に戻りましたね」

 政府は今回のコロナ問題を受け、病院が健康保険カードの番号から入管当局の保管する個人情報にアクセスできるようにした。自分の行動がのぞき見られているようで、ドキッとした。14日間以内に感染拡大国・地域に行った可能性がある人をチェックする仕組みだ。私は平熱だったこともあり、院内に入ることができた。

 台湾では、海外から帰ってきた人や感染者と濃厚接触した人などに対し、自宅や政府指定の施設で14日間の隔離を義務づけている。隔離対象者は、携帯電話の位置情報で警察によって24時間、監視される。違反すれば罰金は最高で100万台湾ドル(360万円)。4月13日までに…

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福岡静哉

台北特派員

1978年和歌山県生まれ。2001年入社。久留米支局、鹿児島支局、政治部などを経て2017年4月、台北に赴任した。香港、マカオのニュースもカバーする。