検察庁法改正案と刑事司法の歪み

青木理・ジャーナリスト
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ジャーナリストの青木理さん=東京都千代田区で2020年4月6日、長谷川直亮撮影
ジャーナリストの青木理さん=東京都千代田区で2020年4月6日、長谷川直亮撮影

 与党が検察庁法改正案を強引に審議入りさせたことを受け、ネット上には異例の抗議が前例のない規模で広がった。政権がお気に入りの検事長を定年延長させて検事総長に据えようと謀り、その横紙破りの奇策を後づけで合法化、制度化、恒久化する改正案への反発は予想外に強いらしく、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけたツイッターの投稿は合計で500万件を超えたとも600万件を超えたとも各メディアが伝えている。

 これも各メディアで報じられた通り、数多くの著名人が抗議に同調したことも注目された。俳優、ミュージシャン、アーティスト、アイドル、タレント、コメディアン、作家、漫画家、その顔ぶれや分野は実に多種多様、ふだんは政治的発言をしない者たちも加わり、ネット上には次のような訴えが続々とアップされた。<これ以上、保身のために都合よく法律も政治もねじ曲げないで><得意技の「ある組織の人事を自分の都合のいいものにする」を、いつまでも使わせてちゃいかん><どのような政党を支持するのか、どのような政策に賛同するのかという以前の問題>。そのいずれにも、私は深く同意する。

 他方、かつて東京地検特捜部に証券取引法違反容疑で逮捕、起訴された経験を持つ実業家はこんなツイートをアップした…

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青木理

ジャーナリスト

1966年生まれ。共同通信社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、2006年よりフリーとして活動。主な著作に「絞首刑」(講談社)「日本会議の正体」(平凡社)など。最新刊は「暗黒のスキャンダル国家」(河出書房新社)。