記者コラム 自衛隊のリアル フォロー

自衛官は「逡巡すべき」なのか(上)「デジタル化」の罠について

滝野隆浩・社会部専門編集委員
航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35A=陸上自衛隊朝霞訓練場で2018年10月14日、橋本政明撮影
航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35A=陸上自衛隊朝霞訓練場で2018年10月14日、橋本政明撮影

 前回取り上げた「国際人道法違反を裁けない日本の法体系を考える集い」では、自衛隊の海外派遣に関連して国内法が未整備な現状が指摘され、対応する法律案の提示もあった。国外の現場にいる自衛官を困惑させないための、伊勢崎賢治・東京外大教授らによる「伊勢崎プロジェクト」である。その議論を聞きながら、私が「あれっ」と思った場面があった。壇上の制服指揮官OBが、発言の最後に「自衛官は迷ってほしい、逡巡(しゅんじゅん)してほしい」と訴えたのだ。

 会の趣旨とは正反対に聞こえる主張を、彼はなぜ、あの会場であえてしたのか――。私はそのOB、元航空自衛隊北部航空警戒管制団司令の林吉永・元空将補(77)に発言の真意をただした。そして、彼の訴えこそが、これからの時代のいまいちばん重要であると確信した。キーワードは「デジタル化の罠」である。

この記事は有料記事です。

残り2755文字(全文3115文字)

社会部専門編集委員

1983年入社。甲府支局、社会部、サンデー毎日編集部、夕刊編集部副部長、前橋支局長などを経て、社会部専門編集委員。現在、コラム「掃苔記」を連載中。人生最終盤の緩和医療・ケア、ホスピスから死後の葬儀、墓問題までを「死周期」として取材している。さらに家族問題のほか、防衛大学校卒の記者として自衛隊をテーマにした著書も多数。著書に「宮崎勤精神鑑定書」「自衛隊指揮官」「沈黙の自衛隊」「自衛隊のリアル」「これからの葬儀の話をしよう」などがある。