北朝鮮のコロナ対策「持久戦」の構え

坂井隆・北朝鮮問題研究家
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順川リン酸肥料工場を見て回る金正恩朝鮮労働党委員長=北朝鮮・平安南道で2020年5月1日(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
順川リン酸肥料工場を見て回る金正恩朝鮮労働党委員長=北朝鮮・平安南道で2020年5月1日(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 新型コロナウイルスのまん延が世界各国に深刻な影響を与えている。北朝鮮は、それにいかに対応し、いかなる影響を受けているのか、さまざまな情報や臆測が飛び交う中、実相を検討したい。

国を挙げた防疫組織で迅速・徹底的に対応

 北朝鮮当局の対応は素早かった。1月22日から中国からの観光客受け入れを中止、同28日には「国境を事実上封鎖」したと報じられている。

 態勢面でも、1月末までに「国家非常防疫体系」が宣布され、中央及び道、市・郡の各級に非常防疫指揮部が設置された。中央防疫指揮部には、朝鮮労働党及び内閣の「責任ある幹部」らにより、「政治」及び「総合、封鎖・検疫、衛生宣伝、検閲、対外、薬務、治療など」の「分科」が組織された。このうち「政治分科」が各級党組織の力を借りて国を挙げた取り組みを督励・監督したとみられる。

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坂井隆

北朝鮮問題研究家

1951年生まれ。78年公安調査庁入庁、北朝鮮関係の情報分析などに従事、本庁調査第二部長を最後に2012年退官。その後も朝鮮人民軍内部資料の分析など北朝鮮研究を継続。共編著書に「独裁国家・北朝鮮の実像」(2017年、朝日新聞出版)、「資料 北朝鮮研究Ⅰ 政治・思想」(1998年、慶応義塾大学出版会)など