香山リカさんのよびかけ

<ご意見募集>香山リカさんが問う いま必要な支援はなにか

香山リカ・精神科医
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香山リカさん=平野幸久撮影
香山リカさん=平野幸久撮影

 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大してから、病院の診察室にいてつくづく思ったことがある。やや人ごとのような言い方になるが、それは「日本人はなんてがまん強いのだろう」ということだ。

 たとえば、熱が出て「コロナではないか」と心配になっても、4月末まではなかなか検査が受けられない状況が続いた(現在も完全に問題が解決したわけではないが、各自治体の医師会が独自の検査センターを作って稼働させたことにより、以前よりは検査のハードルが下がっている)。専門家の中には「どの病院でも検査を受けられるようにすると、検査を求める人が押し寄せて医療崩壊する」と予想する人がいたが、そうだとしたら検査が受けられなければさらに「どうして検査できないんだ!」と多くの人がやって来てもよさそうだ。でも、そんなことは起きなかった。私の患者さんの中でも、「保健所に連絡してもつながらないし、家でじっとしています」と熱やせきがあるのに検査をあきらめた人が何人もいた。幸い大事には至らなかったが、その人たちがコロナだったのかどうかは、結局わからないままだ。医師としても患者さんの診断さえつけられず、「情けない」のひとことだ。

 そして、最近はさらにコロナにより仕事が減り、経済苦からうつ状態に陥る人も出てきた。その人たちは、働く気力も意欲もあるのに、休業や自粛で仕事がなくなってしまったのだ。経営者は補償金や貸付金の申請をしているが「全然足りない」「何カ月もかかると言われた」とうなだれる。しかし、彼らの多くもまた「仕方ない」とがまんしたり、親族や知人に借金をしたりしてしのごうとしている。

 声を上げても届かない。何も変わらない。逆に、声を上げることで反体制的な人と思われるかもしれない。

 そう思っている人が大勢いるのではないか。

 しかし、そんなことはない。最初、政府は新型コロナの経済対策として「収入が減少した世帯に絞って1世帯当たり30万円の給付」と発表していたが、多くの人が一律給付を求めてSNSなどで声を上げ、今回、伊佐進一衆院議員が書いているように「ひとり一律10万円」が実現することになった。上げた声はこうして政権に届き、現実を動かすのだ。

 ただ、それではとてもボロボロになった私たちの仕事、生活は立て直せない。その後、学生たちも緊急アンケートを行うなどしてバイト減少で困窮している実態をアピールし、公明党は学生への追加現金給付を文部科学大臣に要望。生活が苦しい学生50万人を対象に、ひとり10万円が給付される見通しだ。

 これでひと段落というわけにはいかない。伊佐議員は、重要なのは「中小企業への重点的な支援策だ」として、いくつかの具体的なプランをあげている。

 <一人一律10万円給付「前代未聞」の方針転換 重要な「次の一手」は?

 さあ、あなたはどう考えるだろう。いまもっとも必要なのは、誰に対しての支援なのか。そして、どのようなプランが望ましいか。「こんなことも望んでも無理」「声を上げても仕方ない」と言わずに、どんどん意見を述べてほしいと思う。

香山リカ

精神科医

1960年北海道生まれ。東京医科大卒。専門は精神病理学。医師の立場から現代人の心の問題について発言を続ける。立教大学現代心理学部教授。