Social Good Opinion

政治分野ジェンダーギャップ144位の日本で「若い女性が政治を語る」ということ。~民主主義を育てるのは私たちだ。~

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能條桃子さん
能條桃子さん

信頼・納得ができない日本の政治

 「特定の世帯に30万円って言っていたのに、どうして一律10万円給付に変更になったのか?」

 「マスク2枚配布の背景は何だったのか?」

 「自粛を叫ぶだけで、休業などへの給付がどうしてセットにならなかったのか?」

 「私が払う大学の学費は、1カ月授業がないけれど、何も変わらないのか?」

 「安倍晋三首相はどうして星野源さんの動画をSNSにアップしたのか?」

 今回のコロナで自分の生活と政治がつながっていることを実感したことかと思います。同時に、さまざまなモヤモヤした気持ちを抱いた人は多かったのではないでしょうか。記者会見や国会で、なんとなく言っているようで、結局何も分からない、届いていない。そう感じた人もいたと思います。

 政府や政治家は国民に届く言葉で分かりやすく説明し、国民はそれを理解して問題があればその声を届ける。健全であるはずのこのプロセスがないと、政治不信が募ります。疑心暗鬼になってしまいます。

 本来、政治はそれぞれの個人が生きやすい社会をつくるために、非常に重要で役に立つツールです。みんなで税金を払って、必要なことに使えるし、代表者で話し合って住みよい社会のためのルールを作ることができます。

 そしてこの「政治」という有効なツールが機能するためには、「声を届ける市民」と「その声に真摯(しんし)に耳を傾ける権力の姿勢」が必要です。声を届けても聞いてもらえない、意味がないと市民が学んでしまえば、声を届けることをやめるでしょう。声を届ける人が減った結果が、国民の意思と政府のズレであり、現在の日本の政治不信の原因とも言えるかもしれません。

私たちが信頼できる政府・政治をつくる第一歩は、一人ひとりが声を持ち、届けること

 50%前後の低い投票率は、選挙があるたびに話題になります。投票だけでなく、デモや陳情なども世界諸国と比較すると盛んではないとよく言われます。

 それでも、外出自粛が始まった2月から、「#自粛と給付はセットだろ」「#気候も危機」「#おうちでプライド」「#COVID19学費問題」「#検察庁法改正案に抗議します」といった社会や政治に向けられたいくつものインターネット上でのムーブメントを見てきました。

 政治が私たちの生活のリアルや思いを捉えておらず、的外れなコミュニケーションを取ってくることに対して鬱々とした気持ちを感じていた中で、少しずつ声を上げる人が増えてきていることに希望を感じます。

 政治について知らないふりをして、「自分は何でも分かっているから文句は言わないよ」なんてスタンスを取るのは本当にダサい。

 一人ひとりが意見を持ち、理解しようと努力を続けること。これが民主主義社会の前提として必要だと思います。

「若い女性だから何も知らないはずだ」という固定観念

 コロナ対策や検察庁法改正案についてSNSを中心に政治的な発言がタブーとされていた有名人も含めて多くの人が声を上げるようになりました。

 有名人だって所詮は一人ひとりの人間です。声を上げてはいけない理由なんてありません。

 人間だから、間違えることも知らないこともたくさんあるでしょう。それはみんな同じで、一つずつ学びあって進んでいけばいいと思います。

 SNSでは、意見を表明する女性への誹謗(ひぼう)中傷ともいえるバッシングの言説が散見されます。

 上から目線の反応や外見などに言及する支離滅裂な主張の数々をみると、悲しくなるし、「若い女性だから何も知らないはずだ」という固定観念を感じざるを得ません。

 これらは本当に限られたごく一部の人の発言ではありますが、「若い女性だから何も知らないはずだ」という固定観念は政治の世界に蔓延(まんえん)しているように感じます。

男性が上から目線で説教をする「マンスプレイニング」といわれる行為

 私が普段、若い世代の政治参加をもっと身近なものにしたいと、NO YOUTH NO JAPANという活動をしている中でもよく出合います。

 例えば、(政策論議の司会をやることに関して)「女子大学生は笑っていればいい」といった発言に出合うこともありました。対等に接してもらえていないことをとても残念に思うと同時に、発言の裏にある「若い女性は意見がない」という固定観念は変えていかなければならないものであると感じました。

 若い女性を無自覚に下に見るような固定観念は、女性や若者の少ない政治の世界を作り上げている一因です。

 同時に、このような固定観念は、多くの若者や女性が積極的に政治や社会に関わり、声を上げたり対話したりしていくことでしか、改善していけないものだと思っています。私自身、若い世代の政治や社会への参画が活発化する社会の実現に向けて今後も取り組んでいきたいとより一層強く思う出来事でもありました。

女性知事は、47都道府県中2都県のみ

 政治分野ジェンダーギャップ153カ国中144位の日本の現状について、今回のコロナで露呈したもう一つの事実は、政治家(首長)のジェンダーバランスの悪さです。私が22年生きてきて、テレビで毎日のように全国の知事や市長といった首長の会見が流れる様子は今回が初めてだと思います。

 今まで以上に政治家という職業にフォーカスが当てられ、政治家になりたいと思った人はこのコロナで増えたかもしれません。

 若い世代が政治家になりたいと思うことはとてもうれしいことですが、ジェンダーバイアスが機能したのではないかと、とても心配しています。

 今の子どもの世代も、リーダーは男性がやるべきものだという印象を受け、女性のリーダーが生まれづらい状況をつくってしまうことは何としてでも避けたい、そんなふうに感じます。

   昨年の統一地方選が行われた首都圏の政令指定都市5市の市議会議員選挙結果を分析すると、当選した全議員のうち20代・30代の女性の割合はわずか0.99%でした。20代・30代男性の割合が全体の10%を超えていることを考えると、比較的若い世代でもすでにジェンダーギャップが生まれていることが分かると思います。

 教育は、25年前に家庭科や技術科を全員が履修するようになるなど、数十年で変化が生まれていますが、日常では今でもジェンダーバイアスによる多くの壁があるように感じます。

 今回、テレビなどによるコロナの報道が子どもらに悪影響を及ぼさないことを願いつつ、この問題意識の共有がもっと加速しジェンダーギャップ解消が前進する一助に自分も加わりたいと考えています。

2050年には女性首相が誕生する日本になっていてほしいから

 今回のコロナで、若い女性が政治の世界にも、政治に関する議論の中にも、少ないということ、いまだに時代遅れの言説が多くあることが露呈しました。

 女性の声が政治に届きづらい現状は、ただ単純に政治的な発言をしづらいだけではなく、例えば、選択的夫婦別姓が実現されない、生理用品は軽減税率の対象外、子育て支援政策の遅れなど多くの弊害を生んでいると思っています。

 政治への関心が高まり、一人ひとりが少し生活の中で政治について話せるようになってきていると感じる今だからこそ、「若い女性が政治を語る」ということを捉え直していきたいです。

 「政治家になりたい」なんて今まで一度も思ったことがなかったし、今も思っているわけではないけど、「投票に行く」だけではない新たな動きを私たちがする必要があるとも感じています。

 次の選挙で各政党が女性候補者をどれくらいの割合で出すのかも注目しながら、自分にできることを徐々にはじめようと思います。