自衛隊のリアル

自衛官は「逡巡すべき」なのか(下)緊張するスクランブルの「現場」は

滝野隆浩・社会部専門編集委員
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航空自衛隊松島基地に着陸したF2戦闘機=宮城県東松島市矢本で2012年4月10日、須藤唯哉撮影
航空自衛隊松島基地に着陸したF2戦闘機=宮城県東松島市矢本で2012年4月10日、須藤唯哉撮影

 国際人道法などに対応せず、過失犯の国外規定もない。国内法未整備のまま自衛隊を海外に派遣するのはあまりに無責任ではないか。そうした事態を解消するため、伊勢崎賢治・東京外大教授らが中心となって法律案をつくりあげた。前回、4月に開かれたその報告会で、主催者側の制服ОBが、あえて「自衛官は迷ってほしい」と発言したことについて書いた。発言の真意を知りたくて、私は発言主である元第7航空団司令の林吉永・元空将補(77)に電話をかけた。インタビューの1時間はあっという間に過ぎた。

 4月3日の「国際人道法違反を裁けない日本の法体系を考える集い」。壇上でコメントした林さんは、航空自衛隊の対領空侵犯措置の場面でコンピューターがすべてを判断し、そのとおりに隊員たちが動きがちなことを「ためらいのない世界」と言った。そのうえで幹部・隊員たちに「迷ってほしいんです。撃っていいのか、やっていいのか。法的に決まっているからこれでいいのだ、ではなくて、逡巡(しゅんじゅん)するとか、迷うとか」…

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滝野隆浩

社会部専門編集委員

1983年入社。サンデー毎日記者、前橋支局長などを経て社会部編集委員。著書は「宮崎勤精神鑑定書」「自衛隊のリアル」など。