潮流・深層

岐路に立つ米国の民主主義 社会の矛盾に噴出した怒り

古本陽荘・北米総局長
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米ホワイトハウスの近くで道路を封鎖するために若者らの前に立ちはだかる警察官や州兵=6月3日、古本陽荘撮影
米ホワイトハウスの近くで道路を封鎖するために若者らの前に立ちはだかる警察官や州兵=6月3日、古本陽荘撮影

 米中西部ミネソタ州で5月25日に起きた白人警察官による黒人男性の拘束死事件に対する抗議デモはあっという間に全米に広がった。トランプ大統領は「法と秩序」の維持のため連邦軍の投入をちらつかせ、暴力的なデモや略奪の取り締まりを優先する姿勢を強調。被害者の男性や黒人社会への共感は示さず、デモ参加者の怒りを増幅させた。一連の騒乱で露呈したのは、社会の多様な意見や要求を吸収することができなくなった米国の民主主義の制度疲労だ。

 6月1日は、「米国の民主主義の根幹が揺らいだ日」として米国史に刻まれる可能性がある。

 この日、ホワイトハウスの北側にある公園「ラファイエット広場」は立ち入り禁止となっていた。広場の北側を走るH通りには抗議のために数百人の若者らが詰めかけていた。ホワイトハウスの主、トランプ大統領に一番近づける場所だからだ。前夜は一部が暴徒化し、周囲の建物が破壊され公園の施設は放火されたが、一夜明けて平和的な集会が行われていた。

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古本陽荘

北米総局長

1969年生まれ。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)