
コロナ経済対策のひとつとして、政府は当初「1世帯30万円」というプランを打ち出した。しかし、多くの国民や政治家の声により、プランは「1人一律10万円給付」とされた。その内幕などを書いた伊佐進一・衆院議員の寄稿「一人一律10万円給付『前代未聞』の方針転換 重要な『次の一手』は?」を紹介し、その「次の一手」をあげてほしい、と呼びかけた。すると、70件近い意見が寄せられた。この数は私がこの欄を担当してからの新記録だ。誰もがこの新しい感染症によりさまざまな影響を受け、切実に今後のことを考えているのだ。
安倍晋三首相は経団連の総会のビデオメッセージで、経営者たちに「ピンチをチャンスに」と語ったという。その報道を目にしたときは、「経済、雇用、教育、医療などこれだけダメージを受けたらとてもこれをチャンスになど変えられない」と感じた。しかし今回、「これを機会により良い社会に」と考えて提案をしてくれた人たちもいて、その前向きさが印象的だった。まずそれを紹介したい。
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香山リカ
精神科医
1960年北海道生まれ。東京医科大卒。専門は精神病理学。医師の立場から現代人の心の問題について発言を続ける。立教大学現代心理学部教授。