Social Good Opinion

茶色いバナナを救いたい!「面白そう」と思える入り口づくり

北本真唯・早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科4年
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北本真唯さん
北本真唯さん

あなたは黄色いバナナと茶色いバナナ、どちらを買いますか?

 バナナは日本で最も消費されている果物であると同時に、最も輸入されている果物です。一方で、バナナは世界でたくさん廃棄されているという事実もあります。私たちは調査をする中で、消費者が黄色いバナナを好み、茶色いバナナの購入を避けることがわかりました。また、店頭に並ぶバナナの多くが黄色いバナナであるのが現状です。外国から輸入されたバナナが誰からも食べられることもなく、ゴミ箱に捨てられてしまうことはとても悲しいことです。

廃棄されてしまいがちな甘く成熟した“大人”なバナナたち(筆者提供)
廃棄されてしまいがちな甘く成熟した“大人”なバナナたち(筆者提供)

 廃棄されるバナナは食品ロス問題だけではなく、地球温暖化にも影響を与えています。「カーボンフットプリント(炭素の足跡)」と呼ばれるように、バナナは廃棄の際に温室効果ガスを排出するだけではなく、原産国での生産、輸入に至るまでにたくさんのエネルギーを消費していますが、それらを無駄にしていることになります。

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“大人なバナナ”プロジェクトとは?

「“大人”なバナナ」プロジェクトのメンバー3人(筆者提供)
「“大人”なバナナ」プロジェクトのメンバー3人(筆者提供)

 私はそんな廃棄されてしまいがちな黄色一色を超えたバナナを「“大人”なバナナ」と名付け、2人の仲間を誘いプロジェクトを始めました。実は「“大人”なバナナ」は、黄色い「“子ども”なバナナ」より甘みが強く、胃潰瘍抑制効果や免疫効果が期待できると言われています。しかも、お菓子作りに最適です。

 私たちは甘く熟した“大人”なバナナの魅力を多くの人に知ってもらい、食品ロスや環境問題を考えてもらうキッカケを作りたいと思いこのプロジェクトを始めました。昨年は東京都内のカフェで“大人”なバナナを使用したケーキを販売するためにクラウドファンディングに挑戦しました。最初はなかなかプロジェクトが認知されない状況が続きました。ですが、イベントに足を運びプロジェクトについて説明したり、共感してくださった方とコラボレーションをしたりする中で多くの人に私たちの活動を知ってもらうことができ、イベントではバナナケーキ200個を販売することができました。

たくさんの試作を重ねた茶色いバナナを使用した“大人”なバナナケーキ(筆者提供)
たくさんの試作を重ねた茶色いバナナを使用した“大人”なバナナケーキ(筆者提供)

仲間を増やすことの大切さ

 食品ロスや環境問題は一人だけでは解決できない複雑な課題だからこそ、仲間を見つけて共に社会を変えていくことが大切であると私は思っています。

 私は大学でスウェーデンに留学をしていた際にサステナビリティーを学び、現地では授業の仲間と食品ロスを救うためのプロジェクト”Bruised Food Club”を立ち上げました。日本に帰国後、「茶色いバナナを救いたい!」と今のプロジェクトメンバーの2人に声をかけて“大人”なバナナプロジェクトは始まりました。クラウドファンディングに挑戦した際には、販売する場所を提供してくださったカフェの方、バナナを提供してくださったスーパー、支援者やメディアの方などたくさんの方を巻き込む中で多くの人に“大人”なバナナについて知ってもらうことができたと思っています。また、クラウドファンディングのリターンでは全員にバナナケーキのレシピを送ったことで支援者の方がバナナケーキを作ってくれたり、私たちの活動を知ってくださった方が「“大人”なバナナを買ったよ」と報告してくれたりしました。

 自分一人が動けば社会の変化となる「点」をつくることができますが、仲間を増やして点をつなげることができれば「社会を変える大きなパワー」になると私は信じています。

食品ロス削減を目指してスウェーデン留学中に立ち上げたプロジェクトのメンバー(筆者提供)
食品ロス削減を目指してスウェーデン留学中に立ち上げたプロジェクトのメンバー(筆者提供)

“大人”なバナナプロジェクトが目指す社会

 私は“大人”なバナナプロジェクトを通して、より多くの人に地球や人に優しいことをすることで未来を変えられるワクワクを伝えていきたいと思っています。

 食品ロスや環境問題というと何かを我慢しないといけないと感じたり、堅いイメージを感じてしまったりするかもしれません。でも、“大人”なバナナを買ってケーキを作ったり、見切り品コーナーで出合った食べ物を調理してアレンジしてみたりと「面白く」「楽しく」、前向きに社会にとって良いことをすれば明るい未来を実現できるのではないでしょうか。

 私はまずは自分が楽しみ、そしてまわりにその思いを広げて、一緒に社会を変える仲間を増やしていきたいと思います。

北本真唯

早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科4年

 1999年生まれ。早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科4年。スウェーデンのウプサラ大学留学中にサステナビリティーを学ぶ中で食品ロス問題に関心を抱き、現地で”Bruised Food Club”を設立する。日本に帰国後は2人の仲間と共に茶色いバナナに焦点を当てた「“大人”なバナナ」プロジェクトを始め、SNSやイベントを通して情報発信を行っている。