イージス・アショア「停止」は人為的ミス 防衛省は正確な説明を

小野寺五典・元防衛相
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小野寺五典氏=岡本同世撮影
小野寺五典氏=岡本同世撮影

 河野太郎防衛相が17日、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画のプロセスを停止すると発表した。ミサイルのブースター部分を安全な海上や演習場内などに落下させるのが技術的に難しいということが分かり、その改修にコストや時間がかかるためという。突然の発表に非常に驚いたが、情報が漏れないよう秘匿しながら検討を進めることはあるだろうし、防衛省として判断を行うのはしかるべきことだ。しかし、今回の防衛省側の説明では、イージスシステムに不備があるかのような誤解を招きかねない。システム自体は有効に機能している。今回の問題の根幹は防衛省の説明ミスであり、人為的なものだ。このままでは日本の防衛システムへの不信感をもたらし、日米関係にも影響を与える懸念がある。防衛省には自分たちの非を認め、正確な説明をすることを求める。

 ブースターはミサイルの推進力を補助する装置で、上昇後に切り離されて落下する。ブースターは高さ1.7メートル、約200キロ。防衛省は危険がないよう、配備先の秋田、山口両県の陸上自衛隊演習場や海上に確実に落下させると説明してきたが、そのコントロールがソフトウエアの改修で対応できないことが判明したという。

 しかし、飛んでくるミサイルを打ち落とす際、ブースターや破片などがどこに落下するかは通常、考慮されない。ミサイルや爆撃機が落とす爆弾と、打ち落とした後の破片などとどちらが怖いのかといえば、当然、前者だろう。破片や音を発生させずに打ち落とすというのは不可能だ。開発した米国にとってブースターを確実に安全なところに落下させるのは想定していない技術であり、実現するにはゼロから開発するようなものになるだろう。

 米側は最初、演習場内や海上に落下させることが「できる」と説明していたという。防衛省とどのようなやり取りがあったのか、今後、確認する必要がある。それを差し引いたとしても…

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小野寺五典

元防衛相

1960年生まれ。宮城県職員などを経て97年衆院初当選。防衛相、自民党政調会長代理などを歴任。衆院宮城6区、当選7回。自民党岸田派。