Social Good Opinion

選挙権のない私でも気候危機の解決策になれる

岩野さおり・東京都立国際高校国際学科2年
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岩野さおりさん=東京・新宿で2019年11月29日、FFF Tokyoメンバー撮影
岩野さおりさん=東京・新宿で2019年11月29日、FFF Tokyoメンバー撮影

 16歳、選挙権なし。気候危機の最大の当事者でありながら、「投票することで社会形成に参加する」という民主的意思決定のプロセスから取りこぼされている自分。セバン・スズキさんとグレタ・トゥーンベリさんの姿を見た時、初めてそれを自覚しました。

気候危機は現在進行形

 気候変動による影響は単なる気候の変化にとどまらず、災害の激化やそれによる人権侵害、貧困の加速などさまざまな社会問題を引き起こします。

 台風(熱帯低気圧)の激化も気候変動の影響を受けていると言われています。昨年の台風19号では、死者・行方不明者が100人を超えたとされています。

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 イギリスの国際援助団体は昨年、気候変動に起因し約1090億円以上の経済的損失をもたらした自然災害が2019年に少なくとも15件発生したと発表しています。世界銀行は気候変動によって1億4000万人以上が移住することになる可能性があると発表しました。

 海洋諸国ではすでに気候変動の影響を受けた海面上昇によって故郷を追われ職を失った人々がおり、人権侵害や経済格差など不平等を生む要因ともなっています。

 気候危機は100年後に起こることではなく現在進行形で、すでに危機として私たちの生活に降りかかっています。

最大の当事者は私たちなのに

日本外国特派員協会での会見の様子=東京都千代田区で2019年9月18日、筆者提供
日本外国特派員協会での会見の様子=東京都千代田区で2019年9月18日、筆者提供

 気候危機は年々その勢力を増し、今後さらなるリスクの深刻化が予想されています。気候変動の主な原因とされる温室効果ガス排出への関与がいまだ少なく、最も問題に加担していない若い世代ほど大きな影響を受けることになるのです。

 しかし、私たち18歳未満の若者たちは気候危機の最大の当事者でありながら公的な方法による政治参加が認められていません。なぜ私たちの声が、気候危機に勝つか負けるかという重要な局面においてその政策的意思決定に反映されないのでしょうか? 持続可能な社会を築き後世に残すための重要な10年間になぜ私たちの声が尊重されないのでしょうか?

 年齢や選挙権の有無によって「社会」と「私」は分断されているのでしょうか? 私たちは昨年の台風19号による被害も、海面上昇で故郷や職を失った人々の存在もすべて無かったかのように振る舞うしかないのでしょうか?

 そうではない、と私は強く思います。セバンさんは恐れの中でも声を上げることの意味を教えてくれました。グレタさんは選挙権がない私たちでも行動することによって社会に意思を伝えることができるのだと教えてくれました。私たち若者は社会の目を覚ます力を持っているのだと。

「私たち」の未来を守るために

渋谷でのグローバル気候マーチの様子=東京・渋谷で2019年9月20日、マーチスタッフ撮影
渋谷でのグローバル気候マーチの様子=東京・渋谷で2019年9月20日、マーチスタッフ撮影

 私は、社会に若者の声を届け、「私たち」の未来を守るために必要なことは二つあると考えます。

 一つは、社会的な大きな変化。選挙という形に縛られない、より多くの人やより若い世代に開かれた社会的意思決定プロセスの導入です。

 これを実現するために、私たちFridays For Future Japanはアフターコロナの社会再建においてグリーンリカバリーの名の下に「若者の視点の尊重」「Green」「Fair」「Resilient」「Regeneration」の五つの指針を掲げています。グリーンで公平性があり、危機に対して回復力のある社会を再構築するために若者の政策決定プロセスへの参画は欠かせません。

 私たち若者には持続可能で鮮やかな未来を描く権利があり、自分たちの未来を決める意思決定に関わる権利があります。

 もう一つは、一人一人の変化。今、私たちに求められているものは「自分の行動が大きな影響力を持たないから行動を変えない」という思考から「自分の行動が間接的に影響を及ぼしているかもしれないから行動を変える」という思考への移行です。つまり、気候危機やそれに向き合おうとしない社会を見て見ぬふりをするという行動が気候危機をより促進させるということです。

 私たちに「未来に希望を持って」と言いながら、日々、化石燃料を燃やし続け危機に加担する大人たちを、そして旧来の経済的利害関係を維持するために危機から目を背け、子供たちの未来を守る行動をとらない国家を、無視することはできません。

若者が社会の目を覚ますとき

初めての気候マーチ参加、若者が声を上げる意味を実感した=東京・日比谷で2019年5月24日、筆者提供
初めての気候マーチ参加、若者が声を上げる意味を実感した=東京・日比谷で2019年5月24日、筆者提供

 選挙権を持っていないほとんどの中高生、しかしそんな私たちの前にも意思を示すための場は用意されています。気候マーチやSNS、日々の消費活動などあらゆる場面での行動やメッセージが一人一人の意思表示となって社会の選択を変えていきます。

 私たち若者の未来は、既得権益や短期的利益にしがみつく権力者たちの利益を守るためや、気候危機から子供たちを守ろうとしない政策決定者の地位を守るために、犠牲になってよいものではありません。

 「気候変動の中、生きていくのは私たち。私たちが動かないと何も変わらないよね」。前を向いてそう話す友達の姿が思い出されます。

 今ここで、何もしないという選択肢にキッパリと別れを告げることが必要です。私たちみんなが解決策になることが、私たちが大切にしたい人々や故郷、未来を気候危機から守るための第一歩となります。

岩野さおり

東京都立国際高校国際学科2年

2003年生まれ。Fridays For Future Japan/Tokyo のメンバー。19年3月、FFFに参加。現在は高校に通いながら、FFFの中で国政の気候変動対策に関する活動や気候マーチのオーガナイジングに携わっている。高校内ではKokusai Environmental Weekや環境科学の授業をはじめとする啓発活動を校内の仲間とともに行っている。