ふらっと東アジア

上海で隔離されつつ見た中国の「省エネ」コロナ対策

米村耕一・中国総局長
  • 文字
  • 印刷
上海の浦東空港内に設けられたPCR検査場=上海市内で7月3日、米村耕一撮影
上海の浦東空港内に設けられたPCR検査場=上海市内で7月3日、米村耕一撮影

 7月3日に成田空港から上海・浦東国際空港に入り、この原稿を上海市中心部の隔離用ホテル内で書いている。本来の目的地は北京だが、中国政府は現在、国際線を受け入れる空港を限定しており、首都である北京行きを希望する入国者はすべて、上海や大連などでまず2週間の隔離を終えた後、移動することになっているからだ。

 昨年末に武漢市で始まった新型コロナウイルスの集団感染を中国政府は3月までに力ずくで抑え込み、6月11日に北京市内で見つかった第2波とも言える食品卸売市場での集団感染も恐れられたような拡大にはいたらなかった。中国政府のコロナ対策の初動に対する国際社会の疑念は強いが、その後の封じ込めに成功したのは間違いない。

 その対策の中心は、膨大な人手をかけた大量検査、大量隔離、そして強権的な都市や居住エリアの封鎖だ。だが、実際に中国に入国しPCRテストから隔離への流れを体験すると、スマートフォンのアプリなどを使って要所で手間をはぶく工夫など「なるほど」と思う点も少なくなかった。

 中国政府は日本同様、外国人の入国に厳しい制限をかけているが、そもそもビジネスや留学目的で国外に滞在する中国人の数も桁違いに多い。そうした人たちがドッと中国への帰国を続けているのが現状で、大量の入国者に対応するノウハウが、ある程度、確立しているようにも見えた。

 いずれ日本も、コロナ対策を取りながら、今よりも入国者を拡大していくことになるだろう。私が体験した中国における水際対策の流れを紹介したい。

 成田空港を3日午後2時過ぎに飛び立った約300人乗りのボーイング機は、きっちり満席だった。見たところ9割以上が中国人客で、大半が若い。兄弟とは英語で、両親とは中国語で会話する子供たちもいる。乗客の多くは、日本に滞在していたのではなく、米国からのトランジット客のようだった。米国内のコロナ感染拡大が止まらない中、米国から中国への直行…

この記事は有料記事です。

残り2333文字(全文3133文字)

米村耕一

中国総局長

1998年入社。政治部、中国総局(北京)、ソウル支局長、外信部副部長などを経て、2020年6月から中国総局長。著書に「北朝鮮・絶対秘密文書 体制を脅かす『悪党』たち」。