専守防衛変える「敵基地攻撃能力」持つべきではない

岩屋毅・前防衛相
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岩屋毅氏=宮本明登撮影
岩屋毅氏=宮本明登撮影

 政府が陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を断念したことをきっかけに、自民党内からミサイル発射前に相手の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」が必要だとする声が出ている。

 これまで、専守防衛の考え方に基づいて攻撃的な装備はもたないが、降りかかる火の粉は払わなくてはならないので、そのためにミサイル防衛が重要だと説明してきた。イージス・アショアの導入を決めた際もイージス艦と地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」の二段構えをさらに強化するためだと説明してきた。

 技術的な観点からイージス・アショアの導入を断念したからといって、敵基地攻撃能力を持つべきだという議論には論理の飛躍がある。

 必要最小限の敵基地攻撃は可能とした鳩山内閣の「座して死を待つべしというのが憲法の趣旨とは思えない」という国会答弁(注)は、長年政府見解として引き継がれてきており、確立したものだ。この考え方を否定するつもりは全くない。

 しかし、それは我が国の存立を守るために他に全く手段がないと認められる場合に限り、敵基地攻撃も許されないわけではないという意味だ。自衛隊が、常に敵基地を攻撃することを目的とする体制をとり、それを抑止力と位置づけることとは似て非なるものだ。

 敵基地を攻撃する前提に立つならば、それを担保する物理的な手段が必要になる。中長距離のミサイル、あるいは巡航ミサイル、場合によっては爆撃機や、ミサイ…

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岩屋毅

前防衛相

1957年生まれ。大分県議を経て、90年衆院初当選。防衛政務官、副外相などを歴任した。衆院大分3区、当選8回。自民党麻生派。