「北朝鮮食糧危機」説は本当か?

坂井隆・北朝鮮問題研究家
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平壌総合病院の建設現場を視察する金正恩朝鮮労働党委員長(中央)。日時は不明。朝鮮中央通信が20日報じた=朝鮮中央通信・朝鮮通信
平壌総合病院の建設現場を視察する金正恩朝鮮労働党委員長(中央)。日時は不明。朝鮮中央通信が20日報じた=朝鮮中央通信・朝鮮通信

 最近、北朝鮮の経済状況に関連して、「平壌市民への食糧配給が春から途絶えている」とか「『苦難の行軍』(注)の再来が懸念されている」などの「内部情報」を根拠に危機的状況に直面しているとの言説が広がっている。

 しかし、これらの見方には疑問の余地も少なくない。北朝鮮経済の実相を検討する。

(注) 1990年代中盤、冷戦体制崩壊を受けての経済不振に自然災害が加わって極度の食糧不足に陥り、多数の餓死者を出すに至った状況を指す表現。本来は、抗日パルチザン闘争期の故事に由来する。

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坂井隆

北朝鮮問題研究家

1951年生まれ。78年公安調査庁入庁、北朝鮮関係の情報分析などに従事、本庁調査第二部長を最後に2012年退官。その後も朝鮮人民軍内部資料の分析など北朝鮮研究を継続。共編著書に「独裁国家・北朝鮮の実像」(2017年、朝日新聞出版)、「資料 北朝鮮研究Ⅰ 政治・思想」(1998年、慶応義塾大学出版会)など