官僚丸投げ 「兵器」だけの敵地攻撃論

小川和久・静岡県立大学特任教授 特定非営利活動法人・国際変動研究所理事長 軍事アナリスト
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米ハワイ州カウアイ島にある陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の試験施設の視察を終えた小野寺五典防衛相(右)ら防衛省関係者=2018年1月10日、秋山信一撮影
米ハワイ州カウアイ島にある陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の試験施設の視察を終えた小野寺五典防衛相(右)ら防衛省関係者=2018年1月10日、秋山信一撮影

 意外かもしれないが、計画が白紙撤回された陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」も、関連して世間を騒がせている敵地攻撃論も、四半世紀にわたり膠着(こうちゃく)状態にある米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題も、官僚や「斯界(しかい)の権威者」の見解を検証することなく丸のみしてきた点で、形式に流れがちな日本の民主主義を象徴した出来事である。

 イージス・アショアのつまずきの原因は、測量にグーグルアースを使ったずさんさが露見したことと、ミサイルのブースターが確実に演習場内に落下するとの虚偽の説明が、周辺住民の信頼を損ねたことに尽きる。官僚機構の劣化は行き着くところまで進んだ観がある。

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小川和久

静岡県立大学特任教授 特定非営利活動法人・国際変動研究所理事長 軍事アナリスト

 1945年生まれ。陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校修了。同志社大学神学部中退。地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。外交・安全保障・危機管理(防災、テロ対策、重要インフラ防護など)の分野で政府の政策立案に関わり、国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、日本紛争予防センター理事、総務省消防庁消防審議会委員、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。小渕内閣ではドクター・ヘリ実現に中心的役割を果たした。電力、電話、金融など重要インフラ産業のセキュリティ(コンピュータ・ネットワーク)でもコンサルタントとして活動。2012年4月から、静岡県立大学特任教授として静岡県の危機管理体制の改善に取り組んでいる。『フテンマ戦記基地返還が迷走した本当の理由』『日米同盟のリアリズム』など著書多数。