敵基地攻撃能力 日本も「矛」を持つべきだ

中谷元・元防衛相
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中谷元氏=内藤絵美撮影
中谷元氏=内藤絵美撮影

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を断念した河野太郎防衛相の決断は評価したい。ミサイルのブースター部分を海上や演習場内など安全な場所に落下させるのが技術的に難しいと判明したことが理由だが、一方でこれまで費用の見積もりが年々増加してきた経緯がある。

 当初は1基800億円だったのが、2基で2474億円となり、30年間の維持・運営費を含めると4460億円になった。隊員の処遇改善や宇宙・サイバー分野など新分野への投資が必要とされるなかで、防衛費の中の他の経費を圧迫する存在になっていた。一度立ち止まって、今後のミサイル防衛のあり方について再検討するきっかけになったことは良かった。

 日本を取り巻く安全保障環境は急速に悪化している。北朝鮮は発射後に軌道を不規則に変えるイスカンデルタイプのミサイルを開発している。ロシアや中国では迎撃が難しい極超音速滑空ミサイルの研究も進んでいる。ミサイル防衛の開発を主導してきた米国でも、これらの新しいミサイルへの有効性について議論が起きている。

 米国では「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)といい、防衛大綱では「総合ミサイル防空」としているが、航空機による空からの攻撃も、弾道ミサイルも巡航ミサイルも、米軍や自衛隊の持つすべての装備をネットワークでつないで対応する考え方が出てきている。

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中谷元

元防衛相

1957年生まれ。90年衆院初当選。防衛庁長官、防衛相などを歴任。自民党憲法改正推進本部長特別補佐。衆院高知1区、当選10回。自民党。