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コロナで逝った人身取引の被害者 ナネイ・フェデリーナが残したもの

石山絵歩・外信部記者
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多くの人に写真撮影を求められ、応じるものの無表情であることが多かったフェデリーナ(左)=米ロサンゼルスで2019年6月、石山絵歩撮影
多くの人に写真撮影を求められ、応じるものの無表情であることが多かったフェデリーナ(左)=米ロサンゼルスで2019年6月、石山絵歩撮影

 新型コロナウイルスの感染者・死者数が世界最多を記録する米国で6月、ある元家事労働者の女性が新型コロナに感染して亡くなった。フェデリーナ・ルガサン、83歳だった。フェデリーナは、雇用主の女性の家族に「メイド」という名目で祖国フィリピンから米国に連れてこられ、65年もの長きにわたり雇用主から身体的、精神的暴力を受け続けた人身取引の被害者だった。

 2018年に米連邦捜査局(FBI)などによって救出されてから亡くなるまでに享受した「自由」はわずか2年しかなかった。第二の人生を謳歌(おうか)しようしていた矢先、コロナは無情にも彼女の命を奪ってしまった。

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石山絵歩

外信部記者

1984年生まれ、2008年に毎日新聞社入社。岐阜・愛知県警、東京地検担当を経て、東京地・高裁で刑事裁判を担当。事件取材の傍らで、経済連携協定(EPA)によって来日したフィリピン・インドネシアからの看護師、介護士候補生などを取材。18年9月~19年5月、フルブライト奨学金ジャーナリストプログラムで南カリフォルニア大(USC)に在籍し、家事労働者について研究。