
今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国を務める米国のトランプ大統領は、日程を二転三転させながらも開催にこだわっている。対立を深める中国への包囲網を築こうと、2014年にかつてのG8の枠組みから除外されたロシアを復活させようとするなど、サミット参加国の枠を広げようと躍起だ。
サミットはその年の議長国の差配で、拡大首脳会合を開いている。例えば、日本が議長国となった08年7月の北海道・洞爺湖サミットでは、中国、韓国、インド、オーストラリア、ブラジル、南アフリカなど各地域の主要国を招待し、この年11月に米国で初会合が開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議への流れを後押しした。
トランプ氏は一部のG7加盟国の反対にもかかわらず、ロシアを招待したい意向を示し続けている。米露間の国家レベルでは対立しているにもかかわらず、プーチン露大統領への好意から秋波を送っているようだ。5月にはロシア、インド、オーストラリア、韓国の4カ国をメンバーに加えてG11に拡大する案にも言及し、対中包囲網を広げたい意向を鮮明にした。
これに対し、ロシアはかつてのサミットの枠組みに戻る気はなく、国連安全保障理事会の常任理事国(P5)による首脳会合の開催を提案してきた。なぜ「G」に戻る気がないロシアは「P」の枠組みにこだわるのか。
対中包囲網に加わらず
ロシアがG8への参加凍結を宣告されたのは14年3月だった。ウクライナで親露派政権が崩壊したことを契機にプーチン政権はウクライナ南部のクリミアを占拠し、自国へ強制編入した。これを他のG8諸国は看過し…
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