麗しの島から

「マイノリティー」にとっての香港デモと国家安全維持法

福岡静哉・台北特派員
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重慶大厦の前に立つジェフリー・アンドリューさん(右)と、アンドリューさんの恩人の王恵芬さん=香港・尖沙咀で2020年8月4日、福岡静哉撮影
重慶大厦の前に立つジェフリー・アンドリューさん(右)と、アンドリューさんの恩人の王恵芬さん=香港・尖沙咀で2020年8月4日、福岡静哉撮影

 香港では、多数派である中華系以外の市民は「エスニック・マイノリティー」(民族的な少数派)と呼ばれ、人口の約8%を占める。2019年6月から続く政府への抗議デモや、20年6月に施行された香港国家安全維持法(国安法)は、マイノリティーの人々にどのような影響を与えているのか。抗議デモによって人生の転機を迎えたインド系の香港人に聞いた。

 香港・九竜半島の尖沙咀(チムサーチョイ)駅そばにある複合ビル・重慶大厦(チョンキン・マンション)。17階建ての5棟の建物の総称で、低層階にはインド、アフリカなど多国籍のレストランや雑貨店が並ぶ。上層階は安宿が多い。エスニック・マイノリティーの人々が集い、ゆかりの国々は10カ国以上だ。沢木耕太郎氏の紀行小説「深夜特急」やウォン・カーウァイ監督の映画「恋する惑星」(1994年)でも舞台となった。

 「エスニック・マイノリティー」は香港政府が人口統計で使う独自の分類法で、中華系以外は白人や日本人なども含む。政府が発表した16年の人口統計によると、エスニック・マイノリティーは総人口約730万人の約8%に当たる約58万人。このうち約32万人はフィリピンやインドネシアなどからの家事労働者だ。一方で香港には英植民地時代、同様に英植民地だったインド、パキスタンなど南アジアから多くの市民が移住した。この…

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福岡静哉

台北特派員

1978年和歌山県生まれ。2001年入社。久留米支局、鹿児島支局、政治部などを経て2017年4月、台北に赴任した。香港、マカオのニュースもカバーする。