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<SNS中傷の暴走に見る「非人間化」の目線>歪んだ正義(6)

大治朋子・編集委員(専門記者)
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イスラエル、パレスチナ双方の子供が共に通う公立校はほとんどないが、この私立校「ハンド・イン・ハンド」では互いに机を並べ、時間を共有して共感を育む教育が目標とされている。共感は暴力行為を抑止するとのデータがある=エルサレム市内で2015年1月19日、大治朋子撮影
イスラエル、パレスチナ双方の子供が共に通う公立校はほとんどないが、この私立校「ハンド・イン・ハンド」では互いに机を並べ、時間を共有して共感を育む教育が目標とされている。共感は暴力行為を抑止するとのデータがある=エルサレム市内で2015年1月19日、大治朋子撮影

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上での中傷が深刻化している。性被害を実名で告発したジャーナリストの伊藤詩織さんを中傷したSNS上の書き込みは70万件にも達した。フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さんもSNS上で激しい攻撃を受け、亡くなった。人格をそっくり否定するかのような容赦ない言葉を浴びせかける攻撃の背後には、どのような心理があるのか。

 いずれの攻撃者にも「自分は絶対に正しい」という思い込みからくる、歪(ゆが)んだ「正義」が見て取れる。人間の凶暴性はここから立ち上がり、牙をむく。

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大治朋子

編集委員(専門記者)

 1989年入社。サンデー毎日、社会部、ワシントン特派員、エルサレム特派員などを経て現職。英オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所客員研究員。2017年から2年間休職しイスラエル・ヘルツェリア(IDC)学際研究所大学院(テロ対策&国土安全保障論、サイバーセキュリティ専攻)修了、シンクタンク「国際テロリズム研究所」(ICT)研修生。テルアビブ大学大学院(危機・トラウマ学)修了。防衛庁(当時)による個人情報不正収集・使用に関する報道で02、03年度新聞協会賞受賞。ボーン・上田記念国際記者賞など受賞。単著に「勝てないアメリカー『対テロ戦争』の日常」(岩波新書)、「アメリカ・メディア・ウォーズジャーナリズムの現在地」(講談社現代新書)など。