投票率10%アップで「保革伯仲」を実現する

中村喜四郎・元建設相
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中村喜四郎氏=西夏生撮影
中村喜四郎氏=西夏生撮影

 第2次安倍政権の7年8カ月で政治がずいぶん、劣化した。国民を諦めさせる政治になってしまった。

 森友・加計学園や桜を見る会、公文書を改ざんしたり、隠したり、破棄したりした問題などが続いた。国民の感覚と報道から入ってくる情報が乖離(かいり)し、「こんなことにみんなが怒らないというのならば、自分一人が怒っても仕方がない」という意識から「投票なんか行かないほうがいい」という人が非常に増えてきた。

 また、ここ10年で団塊ジュニアの世代を中心に「自分たちはリスクだけを負わされ、希望などない」という感覚が広がり、政治に対する無関心につながっている。

 この二つを変えるために「投票率10%アップを目指す108万人国民運動」という署名運動をやっている。

 「108万人」は2019年の自民党の党員数だ。各都道府県で自民党と同じ党員数だけ、問題意識を共有してもらえる人を作ることが、目標としてわかりやすいと考えた。投票率を10%あげることは約1000万人に新たに投票してもらうことだから、108万人が運動に参加してくれれば決して夢ではない。もちろん、相当な道のりが必要だ。結党以来60年以上をかけて自民党が築いてきた党員数は簡単なものではない。時間をかけながら目標に近づける努力をする。

 「国民運動」としたのは、野党議員の多くは労働組合など組織・団体頼みで、自分の後援会を作ることができていないからだ。いきなり後援会を作ることはできなくとも、その中間の国民運動ならできるし、それをやることで自前の後援会も作れるように変わっていくことができる。

 私が現場を歩いている実感から言えば、国民の自民党政権に対する不満や批判は世論調査に表れているものより、はるかに大きい。だけれども、その批判を投票に吸収できていない。

 そこで、次の選挙では「保革伯仲」を目指す。「政権を変えられる可能性がある」「政治は面白い」というところに持っていくことが、野党が政権批判の受け皿になるために必要だ。それまではじっと耐えながら国民の声に耳を傾けて、少しでも国民に近づいていく努力をする。

 国民が一番求めているものは公正で公平な政治だ。しかし与野党ともその使命感に欠けている。与党がしがらみのなかでしか動けないならば、しがらみがないところに野党の良さがなくてはいけない。与党は現状肯定しかできない。だから、野党は3年後、5年後の政治はこうあるべきだということをしっかり提言しなければいけない。

 やはり長いものに巻かれたい、強いものについていきたいという層が与党を支持していることも間違いない。それを打ち破っていくためには、国民に伝わるメッセージを野党が発信できるかどうかが大切だ。公正で公平な政治をやるのは、与党ではなく野党だと思ってもらうことが出発点だ。そこをしっかりと捉えて与党に挑戦しなければならない。野党が、国民から党利党略と思われる…

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中村喜四郎

元建設相

 1949年生まれ。76年衆院初当選。建設相、科学技術庁長官などを歴任。94年に自民党を離党し、長く無所属で活動。2018年に野党系会派、19年9月に野党統一会派に参加。立憲民主党と国民民主党の合流新党に参加する。衆院茨城7区、当選14回。