声なき声を捕捉せよ

菅首相は民意の「分断疲れ」を癒やせるか

平田崇浩・世論調査室長兼論説委員
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就任後、初の記者会見をする菅義偉首相=首相官邸で2020年9月16日、竹内幹撮影
就任後、初の記者会見をする菅義偉首相=首相官邸で2020年9月16日、竹内幹撮影

「安倍内閣最後50%→菅内閣最初64%」に込められた期待

 第2次安倍政権の7年8カ月は「親安倍」と「反安倍」に民意の分断が進んだ時代だった。菅義偉内閣の発足直後の世論調査で64%という高い内閣支持率となったのは、分断に疲れた民意が「癒やし」を求めた結果ではないだろうか。

 社会調査研究センターと毎日新聞は、安倍晋三前首相の後任を選ぶ自民党総裁選が告示された9月8日と菅内閣が発足した翌日9月17日の2回、緊急の全国世論調査を実施した。17日の調査はTBS系列のニュースネットワーク「JNN」と共同で調査した。

 8日の調査で安倍内閣の支持率は50%となり、辞任表明前の8月22日調査の34%から跳ね上がった。内閣支持率の調査とは、その内閣の存続を支持するか、支持しないかの割合を数値化するものだ。そもそも辞任を表明した首相の内閣支持率を調べることに意味があるのか。そうも考えたが、他社の調査で安倍内閣の支持率が急増していたことから、我々の調査でも記録を残しておく必要があると判断した。

 首相の引き際というのは難しい。過去、石もて追われるように退陣した内閣の最後の支持率は、毎日新聞の世論調査で第1次安倍内閣29%▽福田康夫内閣25%▽麻生太郎内閣20%▽鳩山由紀夫内閣20%▽菅直人内閣15%▽野田佳彦内閣23%――。5年5カ月の長期政権を築いた小泉純一郎内閣は45%で幕を引いている。

 辞任表明後の安倍内閣支持率はなぜ上昇したのだろう。私は「分断疲れ」が背景にあると考えている。

 第2次安倍政権発足当初は5割以上で推移していた安倍内閣の支持率が30%台に落ち込んだのは、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法の是非で世論が分断された2015年の後半だった。以後、一時的に50%台を回復したこともあったが、30%台と40%台を行き来しながら辞任に至った。

 15年以降の内閣支持率を分析すると、…

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平田崇浩

世論調査室長兼論説委員

1967年生まれ。広島県三原市出身。89年入社。97年から政治部。さいたま支局長、世論調査室長、政治部編集委員、論説委員を経て2020年から2回目の世論調査室長。