Social Good Opinion

Z世代の僕がESG投資を始めてみた理由

宮川健太郎・サステナブル・ラボ株式会社SDGsエバンジェリスト
  • 文字
  • 印刷
宮川健太郎さん=Hassan Alnaqbi撮影
宮川健太郎さん=Hassan Alnaqbi撮影

 学生時代に社会課題の解決のためにさまざまな行動をしてきた学生が、社会人になり「目の前の仕事と社会貢献の接続」に苦しみ、社会課題についてあまり関心を持たなくなってしまうことが往々にしてあるように思います。

 私自身も目の前の仕事と大学で学んだ国際関係論をどう結びつけるのかに苦しんだ身です。「僕らの社会は僕ら自身で決める」。これが僕自身のモットーであり、それを実現するために仕事や自分の生活においてさまざまな行動をしてきました。

 本稿では、「Z世代」の僕が始めた小さな「ESG投資」から、社会課題について考えてみたいと思います。

ESG投資とは何か?

 多くの方が近年「SDGs(持続可能な開発目標)」「サステナブル」といった言葉を聞く機会が増えてきたのではないでしょうか。その社会の持続可能性を追求する流れの中に「ESG投資」と呼ばれる投資方法があります。(お金の流れは自分には関係ないと思わず読んでみてください!)

 これまでの世界では投資をするにあたって、企業の財務情報だけに着目をして投資が行われてきました。しかし冒頭に述べた地球規模課題によるさまざまなリスクの上昇により、これまで着目されてこなかった「E:環境、S:社会、G:企業統治」の三つの視点を導入する動きが2010年代から世界で加速しています。

 日本でも大手運用機関でも運用にESGを取り入れる動きは広がっており、長期的な企業価値向上につながると評価されています。<コロナも理由?「ESG」テーマに”3800億円ファンド”

自分の給与でESG投資を始めてみた

 「投資とか難しすぎて自分には関係なさそうだ……」と思われた方も多いと思います。

 僕も実際同じ気持ちだったのですが、そのハードルを越えてみようと思い立ち、自分の給与から毎月ほんの少しの額を、ESGを取り入れたファンドに投資することにしました。

 「良い企業」の定義を新たに自分ごととして改めて考え直す機会になったことが、実際にESG投資を始めてみて考えるようになったことです。各ファンドのESG基準と照らし合わせながら、自分の気になる企業の出す統合報告書やCSRリポートを読むことで今まで知らなかった企業の取り組みや課題感を把握できます。

 それらの報告書も国際的な報告フレームワークと照合するとまだまだ透明性や包括性の観点から足りていないと感じます。

なぜ僕は社会課題の解決に力を注ぐのか?

 学生の頃、1年間オーストラリアのブリスベンという街に留学をしました。そこでは、自分たちで声を上げ、企業や行政に直接働きかけることでオーストラリアの環境問題を解決しようとする若者たちの姿がありました。彼女らはこう言います。「自分たちの社会の問題は、自分たちで解決できるんだよ」と。翻って日本では、なかなか自分たちが主権をもち社会を動かしている実感を持つことができていないように感じてしまいました。

オーストラリアの新規石炭炭鉱開発に反対するプロジェクトの様子=筆者撮影
オーストラリアの新規石炭炭鉱開発に反対するプロジェクトの様子=筆者撮影

 さらに、所属する青年環境NGO「Climate Youth Japan」の派遣で、18年にポーランドで行われた国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)に参加した際には、欧州の金融機関の方々がESG投資について真剣に議論している様子を見て、日本のビジネスの現状に危機感を覚えました。

COP24における気候危機デモの様子=筆者撮影
COP24における気候危機デモの様子=筆者撮影

 そこで、日本においてサステナビリティーを浸透させるために働くことを決めました。

 僕が勤めているサステナブル・ラボ株式会社では、企業の非財務情報を数値化し「見える化」することを進めています。

 ほんの少額のESG投資を始めたことを通じて、企業の視点から、さらには個人としての視点から社会のサステナビリティーの向上に貢献する術を学びました。「自分たちの社会は自分たちで決める」ためにみなさんもぜひ小さな行動から始めてみてください。

宮川健太郎

サステナブル・ラボ株式会社SDGsエバンジェリスト

 1995年生まれ。学生時代より気候変動課題の解決のための啓発活動や研究を行う。青年環境NGO Climate Youth Japanの派遣で2018年にポーランドで行われた国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議に参加。