麗しの島から

香港を支援する歌を作詞した日本人男性の思い

福岡静哉・台北特派員
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日本の国会前で20年8月にあったデモ。「香港に自由を」と書いたプラカードを手に、香港市民の救済を求めた=2020年8月12日、古川宗撮影
日本の国会前で20年8月にあったデモ。「香港に自由を」と書いたプラカードを手に、香港市民の救済を求めた=2020年8月12日、古川宗撮影

 当局による民主派への締め付けが強まる香港で、匿名の音楽家グループ「DGXミュージック」が歌の力で抗議デモを支援する活動を続けている。2019年8月に発表した「香港に再び栄光あれ」は、抗議デモのテーマソングとなった。この歌とは別に、DGXミュージックは9月30日、日本人に香港への関心を持ち続けてほしいとの思いから、新たに日本語の歌詞をつけた曲「明日(あした)」を発表した。作詞をした香港在住の日本人男性に、歌詞に込めた思いを聞いた。

「日本で歌ってもらいたい」

 DGXミュージックは、抗議デモを機に結成された若手の音楽家グループ。抗議デモを支援する曲を公式フェイスブック上で発表してきた。「香港に再び栄光あれ」は香港だけでなく、日本語を含む世界各国の言葉に訳され、海外で香港を支援するデモ活動などでも歌われてきた。

 男性は「個人的な事情がある」として、匿名で電話インタビューに応じた。新曲はペンネームの「国際巨星」で発表している。

 観光で香港に来て魅了され、移住して10年以上になる。「中国政府は、自由を培ってきた香港の経験から学ぼうとせず、なぜ自由を奪おうとするのか」。そんな憤りから、19年6月に本格化した政府への抗議デモにも加わってきた。だが当局は次第にデモを禁止するようになり、逮捕者が相次いだ。

 「逮捕されてしまうと元も子もない。デモへの参加とは別の形で(抗議活動を)応援できないか」。そう考えていた20年6月初旬、日本語で作詞できる人を探していたDGXミュージックから知人を介して提案があった。「日本でも香港の抗議活動への関心が高まっている。日本人に感謝の意を示すと同時に、引き続き関心を持ってもらうため、日本語の歌を発表したい」。DGXミュージックの主要メンバー、トーマスさん(20代)=仮名=からそんな思いを聞き、二つ返事で引き受けた。歌詞作りを進めていた6月30日、中国は香港への統制を強化する国家安全維持法(国安法)を制定した。「どうして時代の流れに逆行する行為をするのか」という怒りが一層募った。

 新曲「明日」は、トーマスさんが作曲し、透明感のある女性ボーカルが歌う。全体に軽やかなポップス調の曲調だ。トーマスさんや、この男性は「日本で香港のデモを支援する集会が開かれる時などに、歌ってもらえるとうれしい」と話す。

 9月30日、DGXミュージックがフェイスブック上で発表した新曲「明日」を聴いてみた。

 ♪走れ 柔らかい…

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福岡静哉

台北特派員

1978年和歌山県生まれ。2001年入社。久留米支局、鹿児島支局、政治部などを経て2017年4月、台北に赴任した。香港、マカオのニュースもカバーする。