欧州ニュースアラカルト

日本は大胆な変化に腹をくくれ 高村教授と考えるコロナ後の気候変動政策

八田浩輔・外信部記者
  • 文字
  • 印刷
山火事の消火活動を行う消防士。専門家は、気候変動が米西部の山火事の規模や被害を拡大させていると指摘する=米カリフォルニア州で9月7日、AP
山火事の消火活動を行う消防士。専門家は、気候変動が米西部の山火事の規模や被害を拡大させていると指摘する=米カリフォルニア州で9月7日、AP

 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)後の社会を考える上で忘れてはいけないのは、人類が直面するもう一つの危機、気候変動だ。海外ではコロナ禍で関心が薄れつつあった温暖化対策を軌道に乗せるための機運が高まってきた。

 経済再建の軸に「脱炭素化」を据える欧州連合(EU)は9月、温室効果ガスの削減目標を大幅に強化する方針を示した。世界最大の排出国・中国は国連総会の一般討論演説で、2060年までに国内の温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする方針を突如打ち出し、国際社会を驚かせた。11月に控える米大統領選の結果は気候危機の行方を左右するかもしれない。

 そんな中、日本は世界で起きている大きな変化を的確に捉えているだろうか。地球温暖化対策の国際動向を長年ウオッチしてきた東京大学の高村ゆかり教授(国際法)と考えた。

 ――EU欧州委員会は、30年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で少なくとも55%減らすという新しい目標を9月16日に発表しました。現行の目標である40%減から、50~55%減に引き上げる方針は以前から示していましたが、結果的に最も高い数値を打ち出してきました。どう評価しますか。

 かなり思い切った提案だと思います。決して達成が簡単な目標ではありませんが、欧州の市民の気候変動に対する危機感、特にグレタ・トゥーンベリさんたち若い世代の危機感と要請を反映したと言えるでしょう。今後、EUでは新しい目標について加盟国の支…

この記事は有料記事です。

残り4265文字(全文4885文字)

八田浩輔

外信部記者

科学環境部、ブリュッセル特派員を経て20年8月から外信部。欧州時事や気候変動をめぐる政治・社会の動きをウォッチしています。科学ジャーナリスト賞、日本医学ジャーナリスト協会賞を受賞(ともに13年)。共著に「偽りの薬」(新潮文庫)。