
安倍晋三前首相による長期政権は政治の安定をもたらし、支持率も一貫して高かった。政権の長さは7年8カ月に及び、この記録は後世に残るものだ。しかし、政治的なレガシー(遺産)は見当たらない。
特に外交での成果は乏しい。「外交の安倍」といわれているが、国益をもたらすようなものはなかったといえる。なかでも拉致問題は「一丁目一番地」として「必ず解決する」と強調していたのにもかかわらず、1ミリも前進しなかった。解決に向けてやったことといえば、トランプ米大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう頼んだぐらいだろう。
最後になって「無条件で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会う」と言ったが、主体的に動いた形跡はなく、結局、会うことはできなかった。そもそも、それまでは「最大限の圧力」一辺倒だった。
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