
はじめまして。一般社団法人NO YOUTH NO JAPANです。
NO YOUTH NO JAPANでは、「若者が声を届け、その声が響く社会」をビジョンに掲げ、Instagramメディア(@noyouth_nojapan)の運営を中心にさまざまな活動を行っております。今回、特別企画として大学生と国会議員が直接対話するTwitterライブ配信を実施しましたので、その様子をお届けします!
『国会議員にダイレクトーク』について
2020年10月、パタゴニア日本支社と毎日新聞政治プレミアのご協力を経て国会議員と大学生が直接対話するTwitterライブ配信を与党編・野党編と2週連続で行いました。
そもそも日本では、「若者は政治に興味がない」と言われ、20代の投票率は世代平均よりも20%低い(*)という現状があります。
一方で、若い世代の目線から考えると、学校で十分教えられていないですし、政治がわたしたちのために何かしてくれている実感を持つのが難しいという面もあります。
しかし、それと同時に、30年後・50年後の未来を生きるわたしたち若い世代は、その30年後・50年後の未来をつくる場所にいる政治家と一緒に、どんな未来をつくるために今何をするのか対話する必要があると感じています
「若者は政治に興味がない」「政治家は若者の方を向いていない」と互いに遠ざけていても言い合っても、わたしたち若い世代U30と政治家の溝は埋まりません。わたしたちが生きていく未来は、現在の延長線上にあるからこそ、将来わたしたちの世代がどうするのかという話ではなく、今どうするのかという話をしたい。対話の始まりとして、今回ジェンダー・難民・学費・気候変動の分野で活動している学生5人が国会議員に直接に質問し、意見を交換する企画を行いました。
(*)2019年参院選投票率
この記事では、放送内容を抜粋しています。与野党のアーカイブはこちらからご覧ください。
与党編 https://twitter.com/noyouth_nojapan/status/1314159275854368768
野党編 https://twitter.com/noyouth_nojapan/status/1316695330365218816
各回出演者 五十音順敬称略
【国会議員】
与党編
小林史明 自民党衆議院議員
国光文乃 自民党衆議院議員
牧島かれん 自民党衆議院議員
野党編
吉良佳子 日本共産党参議院議員
寺田静 無所属参議院議員
堀越啓仁 立憲民主党衆議院議員
【学生】
<ジェンダー>加藤舞 一般社団法人Voice Up Japan明治支部代表
<難民>遠藤万理 NPO法人WELgeeインターン
<学費>松浦朱里 一律学費半額を求めるアクション
<環境>斎藤大介 パタゴニア日本支社・福岡ストアスタッフ
<環境>時任晴央、石原進之介 Fridays For Future Japan
【司会】
能條桃子 一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表・慶応義塾大学経済学部4年
国会議員と大学生の対話:ジェンダー編
質問した人:Voice Up Japan明治支部 加藤舞
Q. 日本の国会議員の女性比率がジェンダーギャップ指数で190カ国中167位。2030年までに国会議員の女性割合3割、何が必要で私たちは何をすべきか?
【与党編】
<牧島議員>
・ジェンダーギャップ指数が低いことへの危機感は持っている。そして、下がっている要因の一つは、政治分野における女性の割合が低いこと。
・2030年の目標を達成するために挑戦はしていきたいが、衆議院・参議院の選挙の回数も限られているため明言は難しい。国会だけでなく、地方議会などで女性の議員数を増やすのがより現実的にできることだと思うので、そこにはより明確な目標を意識しながら進めていきたい。
・候補者は基本公募される。公募選定委員の中に、若い世代や女性が加わることでさまざまな視点から選んでいくことができ、女性の候補者が誕生しやすくなるのでは。
<国光議員>
・環境整備が重要。
・29歳で出産をして、30歳をすぎ政治家を目指し始めた。家事をやってくれない夫、子どもは乳幼児で手がかるなどさまざまなハンディがある。その結果、いくら志があっても政治家になれない。子育てと働き方が両立できるために社会が変わっていかないとなかなか3割という目標は達成できない。
<小林議員>
・政治って面白い・政治に関われると社会を変えられると実感してもらえるような政治活動を政治家たちがやることが政治に関わりたいと思う人を増やすことができる。2030年までに、みなさんが出馬したいと思う活動をしていく。
【野党編】
<寺田議員>
・なるべくはやく半数になることが望ましい。
・社会の男女比は半々、寿命長いから女性の方が少し多い、議員もその割合に比したものにすべきだ
・実現可能性は与党が頑張らないと難しい。
・引退議員の後には女性を立てるなど制度として決めていかなければ難しいかも。
<吉良議員>
・様々な構造を変えるために政治分野で女性を増やす。クオーター制、パリテなど各国の政策を参考に制度化。
・小選挙区制でクオーター制は難しいように選挙制度がかせになっている。
・学生、女性の進出しやすい環境をと声を上げてほしい、活動をして一緒に変えていこう。
<堀越議員>
・男女平等をうたう法律は、男女共同参画社会基本法があるが、男女平等って言えばいい、なぜ言えないのかというと、男女平等って言いたくない勢力がいるということ。
・働く人も専業主婦も介護は女性の役割みたいな雰囲気だけど新しい仕組みが必要
もっと女性増やそうという声が地方自治体から高まることが必要。立憲民主党は積極的に候補者も地元で、女性で声を上げている人を応援して一議席でも多くの女性が当選するようにしている。

国会議員と大学生の対話:難民編
質問した人:NPO法人WELgeeインターン 遠藤万理
Q. 皆さんが難民と聞いてどのようなイメージを持つか。
難民の教科書的な定義は、人種・宗教・国籍・政治的意見によって母国を追われた人たち。一方で、日本においては震災の時に「帰宅難民」「ネットカフェ難民」というふうに本来の難民の定義とは異なる使われ方が普及している。
【与党編】
<国光さん>
・難民という言葉が困っている、震災の時に帰宅できないっていう意味で、外部要因で困っている状況に置かれているという姿勢に寄り添うべきだ。
・政治家になったルーツに難民がある。医学生だった時にペシャワール会の故・中村哲さんに憧れて、アフリカの難民キャンプで医療支援を行っていた。その時に、自分のせいじゃなく、宗教や紛争のせいで困っている人を見た。困っている人を救いたいという原点を政治家は忘れてはいけないと思う。現在、日本では難民認定されるのがとても難しいため、きめ細かい支援が必要。
<小林さん>
・社会で困っている人たちが増えていることが「難民」というワードが広く使われている原因ではないか。本来ならば、困っている人に対してサポートの情報を提供できるのが理想。現在テクノロジーを使えばできる社会になっているが、十分に活用はできていない。テクノロジー政策を進め、困っている人たちに必要な情報を的確に届けてサポートをしていくことが「難民」と言われる人たちは減るのではないか。
【野党編】
<堀越議員>
・地元群馬にはロヒンギャの方がたくさんいる。難民と聞くと、国際的には弱い立場にあるが、その原因をつくっているのは我々であるという認識を持つべきだ。わたしたちが得ている豊さの背景には誰かの犠牲があるという認識があれば、難民=国際的弱者でなく、わたしたちが奪い続けてきたものを返さなきゃいけない相手。
<吉良議員>
・日本に住んでいる人で、難民に会ったことない人多いのでは。
・その背景には日本の受け入れ数があまりにも少ない。原因は難民の定義がすごく狭い。日本の難民の定義は「政治的に迫害された人」。紛争とか人権侵害、経済的難民は日本での定義からあふれてしまう。国際的には「紛争で家を失っているがまだ国外に出られていない人」も難民だが日本は全て除外。つまり、世界の認識と違う。
国会議員と大学生の対話:学費編
質問した人:一律半額を求めるアクション 松浦朱里さん
Q. 一律学費半額などの公的支援はなぜ行われないのか。
4月当初の第1次補正予算では、7億円が予算として充てられた。これは全国の大学生約350万人に対して、1人200円という計算になる。その後、学生の運動により予備費として500億円が充てられ、学生支援緊急給付金という制度が施行された。あくまで、それは単発的な支援としか言えない。7月に行ったアンケートでは、半数以上が保留や不採用となる。そのため、支援策として十分に機能しているとは言えない。
【与党編】
<牧島議員>
・青年局として、大学生の声を聞いてきた。就学支援や奨学金制度など、今までの要件で受けることができなくても新型コロナによって状況が変化した学生に対しては申請ができるということを学生に説明してきた。
・一人一人の夢を支援するという意味では私たちみんな同じ思い。大学の教育の質は下げないためには一定の財源は必要。その財源は確保しつつ、学生の生活を支援するために今は一律ではない方法をとっている。
<小林議員>
・政策を一緒に考えていく場合、三つのポイントがある。一つ目は社会全体の課題として捉えられているかどうか。二つ目は、実現可能な解決策を提案する。三つ目は、政治家として意思決定のある人がリーダーシップを発揮して決定する。
・学費半額という具体的な手法自体に賛同が得づらいところもある。支援するということには賛同できるが、どういう手法・対象なのかということを一緒に詰めていけるなら本当の目的は達成できると思う。
【野党編】
<吉良議員>
・どう政府が、政治が役割を果たすか問われている。与党は本当に困っている人優先。学生支援給付金にもれる人がたくさんいる。線引きはもれる人がでてくる。フェアじゃない。
・フェアにコロナ下の支援を学生にするという意味では給付や学費減額・半額は絶対だと思っている。野党は一律半額で法案もだした。財源は予備費10兆円、うち1兆円ですぐできる。
・皆さんの声が動かしている。給付金作るなんて最初は絶対いわなかった。それは成果。
・「学費高い、バイト漬け、奨学金借りなきゃ進学できない」など自身の具体的な体験を集めて声をとどけていただくのは大切。
<寺田議員>
・自分も奨学金を借りて大学に進学。留学や卒業後すぐ働かなかったのもあるが返済に30代半ばまでかかった。大変だった。
・コロナで大変な時に一律余裕ある人まで半額はどうなのかと思った時もあった。しかし、声を聞くと制度的にもれている人があまりにも多いのでこれを進めなくてはと考えを改めた。
<堀越議員>
・どうしてできないのかというと、政治の方向性がそうなっているから。
・日本の未来のことを考えたら学生にお金をかけなくてはいけない。
・OECDで教育費用の自己負担額最も高いのは日本。OECDから勧告も来ている。それが間違っているということを一緒に声を上げてほしい。

◇国会議員と大学生の対話:気候変動編
質問した人:パタゴニア日本支社福岡ストアスタッフ 斎藤大介
Fridays For Future Japan 時任晴央、石原進之介
気候変動について
Q. 日本の気候変動対策が諸外国と比べて遅れているのはなぜ?
【与党編】
<国光議員>
・気候変動を実感することはある。ただ、指摘されたように気候変動の問題が環境省や環境の問題の域にフォーカスしすぎて他の分野・省庁と横断的にということはまだ弱い。
・省庁横断して気候変動や再生エネルギーの課題に正面から取り組みたい。
<牧島議員>
・政府全体・国民全体の取り組みにしないといけないのは同意。
・地元で町役場を建て替えるときにゼロエミッションビルディング(ZEB)で建てた。住民にとって身近なところに地球温暖化を解決するようなアプローチが見えると、より自分ごと化できる。
【野党編】
<堀越議員>
・みんなのアクションが議員には届いている。しかし、議論をする
・厳格にアクションするというところまでは進められていないのが現状。ただ、気候変動に対する空気感が変わってきている。
・気候危機という状況だと認識している国会議員が増えているのも事実。それは、国民の皆さんが声を上げていて無視できなくなってきた結果では。
・これを続けていけば国会で議論しなきゃいけないという空気感ができると思っているがまだまだ足りていない。
・経済か環境かの二極化で議論されているように見える。本当は環境を重視した経済活動「グリーンリカバリー」を国が議論しなきゃいけない。
<吉良議員>
・各国はどんどん進んでいるのに日本は原発や火力を基幹エネルギーにしているから再生エネルギーが進まない。
・経済のためにも未来のためにも気候変動を正面に据えた政策を作るべきだと思っている。
【与党編】
Q. 気候変動という問題をどのような位置づけで考えている?
<小林議員>
・危機感を持っている。日本で気候変動対策が進んでいない一因として、環境をよくするということと我慢することがセットで考えられている。コロナを機に、先進国ではグリーンリカバリーという声が上がっている。一回落ちた経済を環境に向けていこうというもの。経済成長と環境をよくすることを同じ方向で実現していく。そうすれば、我慢ではなくて発展成長に環境が必要ということになる。そのためには規制改革を徹底的に行う。なぜなら日本で自然エネルギーが進まないのは規制が多いから。現在その規制を排除する段階に政治は入ってきた。
【野党編】
Q. 各所属政党で気候変動に対してさまざまな政策があるはず。それは100点満点でどのくらい?
<堀越議員>
・点数は厳しめにすると70点。具体的なロードマップが議論中で示せていないが、大きい方向性は示せている。
・環境政策を党の政策の柱に据えたい。環境といえば!(立憲)になるように中から変えていきたい。100点、120点になるよう頑張りたい。
<吉良議員>
・点数をつけるのは難しい、逆に評価してほしい。
・1月の党大会で綱領を変えて、改めて気候変動を柱に位置づけた。
・資本主義で大量消費・大量生産を続ける限りは気候変動は解決しない。資本主義の次の社会を目指さなきゃいけない。新しい社会をどうつくるのかを議論したい。
<寺田議員>
・環境問題の影響を一番受けるのは若者。そこに何ができるのか考えていかなきゃいけない。
・日本もESG投資とか進んでいないわけではないが諸外国と比べると遅すぎる。そこを何とか変えていきたい。

最後に
これまでNO YOUTH NO JAPANの活動を通して同じように社会に対して声を上げているU30の仲間をたくさん見てきました。同時に、なかなか政治家に声を届けることが難しいというジレンマも感じていました。政治家と若者、どうにか直接コミュニケーションができる機会をつくりたいと思い、この企画ができました。本企画に限らず、政治において若者からも政治に近づいていく、対話が生まれる企画を今後もつくっていきたいと考えています!
皆さんはどう感じますか?コメントをお寄せください
投稿フォームはこちら