「出かけるから元気でいられる」電動車いすの可能性

佐藤啓・経済産業政務官
佐藤啓氏=高橋恵子撮影
佐藤啓氏=高橋恵子撮影

高齢者の移動手段確保の必要性

 高齢者の方々の外出手段で最も多いのは「自分で運転する自動車」と言われています。運転免許証の自主返納の動きが加速する中で、免許返納後の移動手段の確保は緊急の課題となっています。

 また、最近はコロナ禍で高齢者の方々の外出機会そのものが減少しています。公共交通機関の利用や他人のサポートを伴う外出を遠慮してしまうことがあると思いますが、それは、高齢者の方々と社会との関わりが減ってしまうことにもつながります。長い人生を楽しく生き抜くには、健康が一番の資産であり、社会活動は心と身体の健康維持のためにも重要です。

 今こそ、高齢者の方々が周囲に遠慮をせずに1人で自由に移動ができる手段の確保が求められています。そして、その手段は環境や身体状況に応じて多様な選択肢があるべきであり、その一つとして「電動車いす」が挙げられます。

電動車いすの魅力

 電動車いすは、時速1~6キロで走行可能な乗り物で、道路交通法で歩行者扱いであるため免許やヘルメットも不要といった特徴があります。

 「ハンドル型」と「ジョイスティック型(手元のレバーで操作をするもの)」の2種類があり、どちらも簡単に操作できるものです。私も実際に両タイプを操作してみましたが、少しのレクチャーですぐに乗りこなすことができました。スピードの段階調節も可能で快適なので、ご家族も安心して外出に送り出せる乗り物だと感じました。

 最近ではいろいろなメーカーから出始め、デザインや機能、安全対策も各社がさまざまな工夫をしているので、自分の好みや身体状況に合った機種を探すのも一つの楽しみではないかと思います。

 外出の機会が増えたという利用者もいるようなので、例えば、長距離の歩行や信号横断に不安を覚え始めた方が、まだ元気なうちから乗り始めるというのも健康維持の手段の一つかもしれません。

電動車いす普及への…

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経済産業政務官

1979年生まれ。2003年総務省入省。首相補佐官秘書官や同省選挙課長補佐などを経て16年参院選で初当選。参院奈良選挙区、当選1回。細田派。