原発処理水「安心と安全」の溝埋める話し合いを

増子輝彦・元副経済産業相
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増子輝彦氏=須藤孝撮影
増子輝彦氏=須藤孝撮影

 東京電力福島第1原発のタンクに保管されている処理水の問題については、政府も東電も国民的な合意や理解を深めるために努力をしてきたことは認める。しかし、まだ不十分だ。

 経済産業省は地元自治体や業界団体などを対象に「関係者の御意見を伺う場」を開いているが、実のある双方向のやりとりにはなっていない。あらゆる地域、職域で小さな対話集会をもっと重ねてあらゆる疑問に答える必要がある。

 100%とはいかなくとも、ある程度は安全で、これならばしかたがない、という合意を取り付けるまでの努力はまだ不足している。国民が政府や東電を信用し、政府は万が一海洋放出によって被害が出た時にはすべての責任をもって対応すると言い切る。そこまでいかなければこの問題は容易ではない。

「急がば回れ」

 私は「急がば回れ」だと言っている。政府は最終的には海洋放出をする方針ではあるのだろう。しかし、間違いなく安全だと言い切れるだけのエビデンスにはまだ欠けているのではないか。

 実際に放出するまでには約2年間の時間がある。であれば放出後に新たな問題を起こさないためにも、少なくともあと半年、1年は合意を取り付けるための努力を続けてもいいのではないか。

 安全であることは、安心できることと同じではない。…

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増子輝彦

元副経済産業相

1947年生まれ。福島県議を経て、90年衆院初当選。2007年参院初当選。民主党副代表、民進党幹事長などを歴任。参院福島。衆院当選3回、参院当選3回。無所属。自民党と無所属の議員でつくる参院会派「自民党・国民の声」に所属。