不妊治療の保険適用が「少子化対策」を加速する

野田聖子・自民党幹事長代行
  • 文字
  • 印刷
野田聖子氏=長谷川直亮撮影
野田聖子氏=長谷川直亮撮影

 菅義偉首相が「不妊治療の保険適用」を打ち出し、実現に向けて大きく前進しています。私自身不妊治療を経験し、保険適用を20年近く訴えてきましたが、国会ではなかなか議論になりませんでした。思いを形にできるのが首相の「力」だと思います。菅首相は、見た目はリベラルやフェミニストには見えないかもしれないけれど、考え方はとても斬新です。不妊治療の保険適用を打ち出したことに対しても、違和感はありませんでした。

「暗黒」の思いだった不妊治療

 私が不妊治療を始めたのは20年前、40歳の時でした。以前は「不妊治療」という言葉もここまで知られていませんでした。子供ができないことに対して、「やり方はわかっているのか」とか「俺が代わってやろうか」などと言われることも日常茶飯事で、本当に嫌でした。だから、最初は不妊治療のことは周囲に隠していました。

 それもあって、仕事との両立は本当に難しかったです。体外受精のために卵子を取り出す「採卵」の日に、仕事が重なり泣く泣くあきらめたことが何回もありました。例えば「採卵」の予定日は仕事を入れず、休めるようにしているのですが、前日に病院で血液検査をしたら医師から「あさってにしましょう」と。でも、あさってはどうしても休めない仕事が入っていて、採卵をあきらめざるを得ない。悔しかったです。

 今は働いている女性が多いので、不妊治療と仕事や社会との兼ね合いはしんどいのではないかと思います。治療のため仕事を辞めざるを得なかったという話も聞きます。

 注射を打ち、さまざまな薬を飲み、身体的にも大変でしたが、一番つらかったのは、どれだけ治療しても、妊娠しないことでした。料金も高くて、結果も出なくて、先が見えませんでした。一度体外受精で妊娠しましたが、仕事が休めず流産しました。「暗黒」のような思いをずっと抱えてきました。だから、不妊治療をしている人に対する理解が広まってほしい、いろんな問題を解決できたらと思い、この問題に取り組んできました。

保険適用で負担軽減を

 自分も働いていて貯金もあったのでなんとかなりましたが、それでも経済的な負担は大きかったです。体外受精するのに1回50万円、60万円かかりました。

 不妊は病気です。病気であれば、当然保険適用されるはずです。なぜ「体外受精」は保険適用にならないのか。何度も何度も厚生労働省に疑問をぶつけました。返ってくる答えは「保険適用できるのは、有効性や安全性が確立した治療。体外受精は成功率が低いから、保険適用できない」でした。

 表向きはそうなのでしょうが、本当は関心がなかったのだと思います。この20年の間に、「病気」ではない禁煙外来などが保険適用されているわけですから。

 粘りに粘って、公明党さんも頑張ってくれて、助成金制度ができました。でもそれも、体外受精の助成金は初回30万円、2回目以降15万円と、「頑張ってやってみよう」というきっかけになるには少ない金額です。家計が成り立つ治療でなければなりません。だから、個人負担3割の保険適用というのが大事だと思っています。

親子関係「明確化」に2…

この記事は有料記事です。

残り1412文字(全文2678文字)

野田聖子

自民党幹事長代行

 1960年生まれ。岐阜県議を経て、1993年衆院選で初当選。郵政相、総務相、衆院予算委員長などを歴任。衆院岐阜1区。当選9回。