新型コロナに無為無策の菅政権 全額国費で「面の検査」「社会的検査」を

志位和夫・共産党委員長
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志位和夫氏=尾籠章裕撮影
志位和夫氏=尾籠章裕撮影

 新型コロナウイルス感染拡大が深刻だ。全国で新規感染者が急増し、2000人を超える日も続き、たいへん深刻な状況だ。「第3波」が到来したことを直視し、何としても感染爆発を止めなくてはならない。

 菅内閣の対応は危機感がなく、無為無策というほかない。最大の失敗はとにもかくにも検査数が少ないことだ。日本の人口当たりのPCR検査実施数は世界で153位。どんな言い訳もできない異常な遅れだ。

 新型コロナの場合、感染を抑えるためには、無症状感染者の把握・保護が決定的に重要になる。だが、PCR検査数は伸びていない。「月曜日は少ない」などの曜日ごとの傾向をならすため、1週間の平均値(7日間移動平均値)の推移で作成したグラフをみると、「第2波」の8月9日をピークに検査数は減り、その後も横ばいが続いた。新規の感染者数が下がったときに検査を増やすべきだったのに、それをやらなかった。感染の広がりを把握できず、「第3波」を許した。

 これまでは主に東京の感染者数が注目されてきたが、現在は北海道、大阪、愛知、神奈川、埼玉の5道府県の増え方も大きく、危険な状況になってきている。政府の無為無策が続くならば、全国規模で感染が拡大し、医療崩壊を引き起こし、多くの犠牲者を出す危険性がある。

「検査」「保護」「追跡」という感染症対策の基本の充実を

 現在の感染急拡大を抑止するうえで最も重要になるのは、「検査」「保護」「追跡」という感染症対策の基本を抜本的に充実することだ。

 PCR等検査については、政府が無症状感染者を把握・保護するという検査戦略を持っていないことが大きな問題だ。

 新型コロナの一番やっかいなところは、無症状感染者の一定割合が感染を拡大することにある。それをどうやって抑止するか。政府は、もっぱらクラスター対策をいうが、この対策は、有症者を中心とする感染集団を見つけて、そこからさかのぼって接触者を見つけていくという、いわば「点と線」の対策だ。これでは無症状感染者を把握できない。現に、感染経路不明者が5~6割に達し、クラスター対策ができなくなっている。

 無症状感染者を把握・保護するためには、第一に、感染急増地(ホットスポット)となるリスクの高い繁華街などをピックアップし、「面の検査」――その地域で働く人や住民を網羅的に検査する必要がある。

 11月10日の政府の新型コロナ対策本部で配られた資料の中に重要な分析があった。新宿・歌舞伎町での重点検査数、陽性者数の推移のデータを示しつつ「大規模・地域集中的なPCR検査を実施したことにより、陽性者数が減少したことが統計的分析で明らかになっている」とし、「面の検査」の有効性を確認しているのだ。

 そうであれば、歌舞伎町だけでなく、札幌・ススキノや大阪・ミナミなど全国で感染急増地となるリスクの高い地域をピックアップし、すぐに大規模・地域集中的な検査を実施すべきだ。

 第二に、集団感染が起きたらリスクが甚大なところ――病院、介護・福祉施設、保育園、幼稚園、学校などに対する「社会的検査」も必要だ。職員や入院患者(入所者)などに対して定期的なPCR検査を行い、感染から守る必要がある。医療機関(病院・診療所)の院内感染は349件、福祉施設(介護・障害・児童)の施設内感染は401件(11月16日時点、厚生労働省による)にのぼり、一刻の猶予も許されない。

 こうした、「面の検査」や「社会的検査」は、自治体単位でやっているところもあるが、自治体任せでは、国の補助があるにしても自治体の財政事情によって差が生じてしまう。菅政権は全額国費で検査の推進をすべきだ。

 検査後は当然、陽性者は保護をする。陽性者数増加に備え、ホテルなどを中心にいろいろな施設を借り上げ、対応できる態勢を急いで強化することが必要だ。

 同時に、接触追跡(コンタクトトレース)を行う体制を、急いで強化しなければならない。欧州では、検査数は増やしたが接触追跡が不足したため、感染急増を招いたといわれる。日本では接触追跡は保健所が担当しているが、圧倒的に人手不足だ。政府が保健所応援で確保した人材は600人程…

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志位和夫

共産党委員長

 1954年生まれ。党中央委員などを経て93年衆院選で初当選。党政策論戦副部長、党書記局長などを歴任。衆院比例南関東、当選9回。