櫻田淳さんのまとめ

続く対中「技術覇権」闘争 日本の備えはできているか

櫻田淳・東洋学園大教授
  • 文字
  • 印刷
櫻田淳さん=根岸基弘撮影
櫻田淳さん=根岸基弘撮影

 先日、薗浦健太郎<技術とデータ「独占」しようとする中国にどう対応するか>、中山展宏<TikTokは安全か 経済安全保障上の脅威へ「遮断」ではない対応を>の両衆院議員の論稿をたたき台にして、米中両国の技術「覇権」闘争の渦中で日本が取るべき立ち位置を問う議論を呼び掛けたところ、読者各位からは三十数件の所見が寄せられた。真剣な議論に加わっていただいた読者各位には、謝意を表する。

中国への警戒感露わ

 諸国の中でも中国に対する視線が厳しい日本の一般事情を反映して、このたびの論題に際しても中国に対する警戒意識を露(あら)わにした所見が並んでいる。たとえば、「中国が穏健な国際外交を展開し今後もそれが予想され各国間と親密な関係を目指すなら、特定の企業を対象とした排除はかえってマイナスと考えられる。しかし、今回のように国際法規を無視して自国の覇権拡大を外交政策の主軸におくのなら、むしろ世界は足並みをそろえて『経済制裁』を取るべきだろう」という〈ごきげんマウス〉さんの所見は、その一例である。

 〈全方位jisyaku〉さんが指摘するように、「この議論で最優先課題は安全保障問題である」という認識の上に立てば、特に尖閣諸島摩擦を抱える日本の対中視線が厳しくなるのは、自然な成り行きであろう。〈民主主義者〉さんが示した「『自由』と『民主主義』より『利得や便益』を優先して中国とつきあえば、結局は中国共産党にいいようにされるだろう。民主主義国群が団結し、その中で中国共産党(中国ではない)と現実的な対応をしなければ、習近平と中国共産党の野望に手を貸すことになると思う」という指摘は、現下の日本で対中警戒意識が優越している事情を反映した最大公約数的議論であろう。

「日本外交を磨くチャンス」

もっとも、こうした米中「技術覇権」闘争の渦の中で、中国批判のみに傾斜する議論を肯(がえ)んじない向きもある。さんの「米中対立を、自由と利得という二項対立として捉えること自体が誤り」という指摘は、その一例であろう。また、さんのように、「これは日本の外交を磨いていくチャンスであると思う」という指摘もある。

 「大事な事は、新技術により民主主義や法の支配が骨抜きにされたり、監視により忖度(そんたく)や萎縮をはびこらせる社会にしないことだ。その為(ため)には、おかしなことをすれば政権交代がおこり、国民から大きなしっぺ返しを受けるという緊張感を、権力側が持つような社会を維持せねばならない」という〈さよくでごめんね〉さんの指摘は、自ら奉じる民主主義の価値を省みる上でも、大事なものであろうと思われる。

実を伴った米国との協働はできるか

 このたびの米国大統領選挙の結果、ジョセフ・R・バイデン(米国前副大統領)が米国次期大統領に相成った。「ウォールストリート・ジャーナル」記事(日本語電子版、11月12日配信)には、「中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国企業に対する輸出規制や中国製品への関税など、トランプ政権が導入した政策の多くはバイデン政権でも継…

この記事は有料記事です。

残り211文字(全文1476文字)

櫻田淳

東洋学園大教授

1965年生まれ。専門は国際政治学、安全保障。衆院議員政策担当秘書の経験もある。著書に「国家の役割とは何か」「『常識』としての保守主義」など。フェイスブックでも時事問題についての寸評を発信。