児童手当「特例給付5000円」の維持を

早稲田夕季・衆院議員
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早稲田夕季氏=宮間俊樹撮影
早稲田夕季氏=宮間俊樹撮影

 児童手当で、所得制限を超える場合に子ども1人当たり月額5000円を支給する特例給付について、政府内に廃止、縮減を検討する動きがある。私の国会質問にも検討を認めた。児童手当の所得制限の基準を世帯主から夫婦の合計に変更(世帯合算)することなども検討され、実現すれば共働きの家庭の場合、事実上減額される世帯が出ることになる。少なくとも現制度は維持されるべきで、さらなる拡充を強く訴えたい。

働く女性のやる気をそぐ

 民主党政権時代の子ども手当は、子どもを育てるすべての世帯を社会全体で支援するという趣旨から、当初は所得制限がなかった。所得制限をかけた際に特例給付の制度ができた経緯がある。

 安倍政権は「1億総活躍」を掲げた。共働きも含めて女性が働きやすい社会にするという政策だったはずだ。もし特例給付を廃止したり、世帯合算で所得制限の基準を事実上引き上げたりするならば、子育てをしながら働いてきた女性のモチベーションを下げることになる。私は朝6時半から8時半まで駅頭に立つ活動を続けているが、15年前にベビーバギーを押して出勤する女性がいた。最近、その女性から「その子が大学に入った」と聞かされ、本当に頭が下がる思いがした。今は赤ちゃんを前に抱っこし、背中にリュックを背負っている男性も珍しくなくなったが、相変わらず女性の負担は大きい。そのなかで頑張って子どもを育てている。

 特例給付削減反対の声がたくさん届いている。そのうちのメールの一つには「30代の共働きの母です。児童手当の特例給付の削減、どうか阻止してください。必死で働いていて、納税をしている国民に対する侮辱です」と書かれていた。

子育て予算は先進国で最低ランク

 保育所整備など待機児童対策の財源を生み出すためにはやむを得ないという意見がある。しかし、そもそも日本の子育ての予算の水準は世界的に見ても低い。児童手当などを含む「家族関係支出」は、経済協力開発機構(OECD)の2017年の統計では国内総生産(GDP)比で1.58%なのに対し、フランスは約2倍の2.93%、高福祉のスウェーデンでは3.54%だ。

 もともと少ない子育て予算全体を増やそうとせずに、待機児童対策の財源を子育て予算の中から生み出そうするのは間違いだ。安倍晋三前首相は少子化を「国難」と言っていた。菅義偉首相も「真正面から向き合う」と言っている。ならばここは政治主導で子育て予算を増やすべきではないか。財源については政府全体の予算の組み替え、そして資産課税の強化や、法人税や所得税について累進課税を強めるなど税制全体を見直すことなどで考えるべきだ。菅首相は不妊治療助成について所得制限をなくすと発言した。それ自体は評価したいが、児童手当で所得制限を強化する政策は少子化を加速させるもので、矛盾するのではないか。

 特例給付のように、子育てであれば所得の高い人にも政府が給付することは、社会が子育てを支援しているメッセージになる。「なぜベビーバギーで満員電車に乗ってくるのか」ではなく、「ベビーバギーの場所を空けてあげよう」という社会に変えていかなくてはな…

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早稲田夕季

衆院議員

 1958年生まれ。鎌倉市議、神奈川県議を経て、2017年衆院初当選。衆院神奈川4区、当選1回。立憲民主党。