コロナ禍で表面化した女性・非正規に厳しい日本

岸真紀子・参院議員
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岸真紀子氏=玉城達郎撮影
岸真紀子氏=玉城達郎撮影

 コロナ禍で雇用が悪化するなかで、非正規労働者、とりわけ女性の雇用が悪化している。長い自民党政権下で、女性の問題、非正規雇用の問題を放置してきたことがこの結果につながっている。

女性にしわ寄せ

 労働者派遣法を改悪し、いつまでも派遣のままで正規雇用になれないという重い問題を作ったのが安倍政権だった。経済成長重視といいながら、本当の成長ではなく労働者を切り捨てた成長だった。女性の雇用が増えたと言うが、その中身は非正規雇用だ。

 今年2月に安倍晋三前首相が突然、全国一斉休校を要請した。子どもが学校に行っている間に働いている女性がいることの意味がわかっていなかったのだろう。こういうことをされるとまず、女性にしわ寄せが行く。

 なぜそうなるか。「大黒柱」である夫の給料が世帯を支えているというイメージが前提にある。女性の労働は家計の補助という位置づけしか与えられず、低賃金に抑えられる。そして家事、子育て、介護のような仕事は女性がやるものだとして見過ごされてきた。

 だから、一斉休校で子どもをひとりにしておけないという問題が起きると「女性の方が賃金が安いから」となって、女性が仕事を休む、あるいは辞めることになる。これが女性にしわ寄せがいくということであり、深く考えれば、非正規労働者がなぜ低賃金なのかということにもつながってくる。

 非正規労働者が補助的な扱いをされていることと、非正規労働者に女性が多いことは相互に関連している。政策的にも扶養手当や配偶者控除などで女性は補助的で低賃金の働き方に誘導されてきた。その裏返しで男性は家事、育児、介護をしなくていいとされ、過労死につながるような働き方を強いられる。そして、もともと女性が家庭で担っていた労働は、外部で担うようになっても非正規労働者の割合が高く、賃金が低い。

 日本の労働慣行はいまだに世帯を単位に考える専業主婦モデルから抜けきれず、女性が低賃金の非正規労働から抜けられないという構造が固定化している。だから景気が悪化すると女性の非正規労働者から解雇される。

個人に焦点を当てた支援を

 わかっていながら、特に女性は気がついていた課題を政治は長年、見過ごしてきた。コロナ禍でこれだけ表面化し、苦しんでいる人がいるのに、まだ無視を続けるのかと思う。この機会に真摯(しんし)に問題に向き合うべきだ。

 世帯ではなく個人単位で支援しなければならない。菅義偉首相は「自助、共助」と強調する。もちろん自助、共助は大切だが、結局は家族でやりなさいと言っているように聞こえる。社会保障費を削減するために、介護や子育てをもう一度家族に戻し、女性に担わせようとしているのではないか。

 しかし政府が想定する「美しい」家族ばかりではない。虐待もDVもある。現実にはすべてを家族で見ることなど不可能になっており、社会としてみんなで費用を出しあって支えなければ日本社会は維持できなくなっている。政府も経済界も、その現実がよくわかっていないのではないか。一人一人の労働者、一人一人の個人の生活を守る観点が決定的に欠けている。

 個人への支援ができる仕組みに変えていかなければ、本当の意味でのスタートラインに立てない。本当に困っている個人に焦点を当て、自立につなげる支援が必要だ。

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岸真紀子

参院議員

1976年生まれ。北海道旧栗沢町(現岩見沢市)役場勤務、自治労特別中央執行委員を経て、2019年参院初当選。参院比例代表、当選1回。立憲民主党。