記者コラム 「激変」自衛隊本シリーズ フォロー

1 河野克俊著「統合幕僚長 我がリーダーの心得」<上>

滝野隆浩・社会部専門編集委員
河野克俊・元統合幕僚長=滝野隆浩撮影
河野克俊・元統合幕僚長=滝野隆浩撮影

 最近、自衛隊幹部ОBの出版が相次いでいるように思える。それも元高級幹部による当たり障りのない回顧録的な内容でも、ひと昔前に流行した「かく戦う」型の戦略・戦術構想の本でもない。部隊行動の実相や部隊の内実をていねいに描き記録した迫真のノンフィクションが多い印象がある。たぶんそれは1990年以降、自衛隊が海外に派遣され、「戦時」「戦地」の現場を体験した結果なのかもしれない。平成期、自衛隊の任務は激増し、そして激変した。その時々の実際を、彼らは書き残しておきたかった、いや、書かずにはいられなかったのだろう。時代の証言者として。

 心に残った数冊を、私になりの解釈を加えて報告したい。ОBの思いに触れれば、ありきたりな書評にはならないと思う。まずは4年6カ月にわたって統合幕僚長を務め、昨年4月に退官したばかりの河野克俊さん(66)の本から始めたい。

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社会部専門編集委員

1983年入社。甲府支局、社会部、サンデー毎日編集部、夕刊編集部副部長、前橋支局長などを経て、社会部専門編集委員。現在、コラム「掃苔記」を連載中。人生最終盤の緩和医療・ケア、ホスピスから死後の葬儀、墓問題までを「死周期」として取材している。さらに家族問題のほか、防衛大学校卒の記者として自衛隊をテーマにした著書も多数。著書に「宮崎勤精神鑑定書」「自衛隊指揮官」「沈黙の自衛隊」「自衛隊のリアル」「これからの葬儀の話をしよう」などがある。