デジタル庁と政府の信頼 問われる民主主義とガバナンス

田中秀明・明治大学公共政策大学院教授
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田中秀明氏=宮武祐希撮影
田中秀明氏=宮武祐希撮影

 去る9月に発足した菅義偉政権はデジタル庁の創設を掲げた。2021年度予算編成において、デジタル庁の細部が検討されており、総理直轄の組織とすること、各省庁のシステム予算を集約化することなどが盛り込まれる見込みである。さまざまな行政手続が便利になることを期待したいが、過去20年かかってもできなかったデジタル化が新しい組織を作ればすぐにできるとは思えない。デジタル化を阻む問題を解消しなければ、デジタル庁は真に成功しないだろう。

 内閣府政府広報の世論調査(18年10月)によると、マイナンバーカードを所得しない理由として(複数回答)、必要性がない(57.6%)、身分証明書が他にある(42.2%)、個人情報漏えいが心配(26.9%)、紛失・盗難が心配(24.9%)、申請手続きが面倒(21.3%)、が上位に挙げられている。端的に言えば、利便性と信頼性である。

 関連法が13年に制定されてから7年も経過したが、国民は利便性を実感していないのが現状である。今般の新型コロナウイルス感染症対策で10万円の給付金が支給されたが、オンラインで申請すると、郵便による申請より時間がかるという笑えない事態にもなった。

 日本は、光ファイバーなど情報技術(IT)インフラは世界トップクラスであるが、その利活用の側面、例えばオンライン化については遅れている。例えば、経済協力開発機構(OECD)の統計によると、行政手続きのオンライン化(18年)は、OECD平均が39.3%であるのに対し、日本は7.3%である。ちなみに、トップはアイスランドで約80%であり、スウェーデンなど北欧諸国は全て60%を超える。なぜなのか。

出世限られる「スペシャリスト」

 第一に、公務員人事と文化の問題である。霞が関では、幹部は…

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田中秀明

明治大学公共政策大学院教授

 1960年生まれ。85年大蔵省(現財務省)入省。オーストラリア国立大学客員研究員、一橋大学経済研究所准教授、内閣府参事官などを経て、2012年より現職。専門は財政・ガバナンス論。著書に「官僚たちの冬 霞が関復活の処方箋」など。