菅首相はなぜ暴走したのか

森永卓郎・経済アナリスト、独協大学教授
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森永卓郎氏=藤井太郎撮影
森永卓郎氏=藤井太郎撮影

内閣支持率の急低下

 菅内閣の支持率が急降下した。毎日新聞と社会調査研究センターが12月12日に行った世論調査で、内閣支持率は40%と、前回11月7日の調査から17ポイントも下落した。支持率低下の主因は、新型コロナ対策だろう。11月25日に西村康稔経済再生担当相が、「これから勝負の3週間」と宣言し、集中的な対策を要請したにもかかわらず、GoToトラベルキャンペーンを継続することで、感染の抑制どころか感染爆発を起こしてしまった。明らかに政府のコロナ対策は失敗に終わったのだ。

 毎日新聞の世論調査でも、政府の新型コロナ対策を「評価する」とした国民は14%に過ぎず、「GoToトラベル中止」を求めた国民は67%に及んでいる。

 感染の拡大によって医療現場からは悲鳴が上がっており、旭川赤十字病院で12月11日に、緊急性の低い手術を2週間延期することが決まるなど、すでに医療崩壊の兆しも始まっている。

 新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、12月9日の衆院厚生労働委員会で、「GoToトラベル」に関して、東京を含むステージ3相当の地域については、一時停止すべきだとの考えを改めて示した。

 国民も、医療関係者も、感染症の専門家も、全員がGoToトラベル中止を求めている状況に、菅義偉首相がようやく重い腰を上げた。

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森永卓郎

経済アナリスト、独協大学教授

1957年生まれ。日本専売公社、経済企画庁、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て独協大経済学部教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。コメンテーターとしてテレビ番組に多数出演。著書に「年収300万円時代を生き抜く経済学」(光文社)など。