アフリカン・ライフ

どうなるエチオピアの「薩摩藩」

平野光芳・ヨハネスブルク支局長
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ノーベル平和賞の授賞式で笑顔を見せるエチオピアのアビー首相=2019年12月、AP
ノーベル平和賞の授賞式で笑顔を見せるエチオピアのアビー首相=2019年12月、AP

 アフリカ東部にあるエチオピアが大変なことになっている。

 隣国エリトリアとの和平実現で2019年のノーベル平和賞を受賞したアビー首相が、11月4日、政敵である少数民族勢力・ティグレ人民解放戦線(TPLF)と武力紛争を始め、死傷者が多数出ているのだ。外国と和解して顕彰されたばかりのリーダーが、なぜ国内で過激な行動に走るのか。

 「戦争をやめろ」

 「民族浄化をやめろ」

 「ティグレ人を殺すのをやめろ」

 「ノーベル平和賞は殺しのライセンスじゃない」

 11月25日、私はヨハネスブルク支局から車で1時間ほどかけ、南アフリカの首都プレトリアにある南ア外務省に向かった。当地在住のエチオピア出身ティグレ人が庁舎前でデモを行うと連絡があったためだ。午前9時半に到着すると、既に男女100人ほどが集まっていた。多くはそろいのTシャツを着ており、プラカードや赤地に黄色い星をあしらったティグレ州の旗を掲げて、声高に叫んでいた。

 何か普通のデモと違う。それが現場で取材を始めた時の第一印象だった。とにかく参加者の表情が皆、真剣そのものなのである。…

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平野光芳

ヨハネスブルク支局長

2001年入社。大津支局、福井支局敦賀駐在、大阪社会部、ジャカルタ特派員、奈良支局などを経て20年からヨハネスブルク支局長。共著に「なぜ金正男は暗殺されたのか」