記者コラム 「激変」自衛隊本シリーズ フォロー

2 小山修一著「あの日、ジュバは戦場だった 自衛隊南スーダンPKO隊員の手記」

滝野隆浩・社会部専門編集委員
孤児院で=小山修一さん提供
孤児院で=小山修一さん提供

 平成期における自衛隊の「激変」ぶりを記録した自衛隊実録本を紹介するシリーズ第2弾は、元陸上自衛隊幹部(1佐)の小山修一さんの「あの日、ジュバは戦場だった」(文芸春秋)を取り上げたい。タイトルのとおり、小山さんは2016年6月から半年間、南スーダンPKО(国連平和維持活動)10次隊の一員として派遣された。教訓となる情報を収集することが任務だったため、日々、詳細な手記を残していた。当然、目の前で起きていた戦闘行為のことも。当時、日本の国会では、防衛相により「戦闘」は「衝突」と言い換えられ、隊員たちが職務として送っていた日報は「ないもの」とされた。国会は大混乱し、結局、大臣、事務次官、陸上幕僚長までが辞任する事態となった。ただ、本当はどんな状態だったのか。真実はあやふやなままで幕引きされたのである。

 小山さんの著書は、「教訓収集」のプロ、あるいは記録者として、鋭い観察眼をもって正確に書かれた記録である。さらに「そのとき」の隊員の心理まで踏み込んで記している。そしてこう話す。「(南スーダンPKОは)忘れられたPKОになってしまったが、あのときの事実を後世に残すため、自分は書かざるを得なかったのです」

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社会部専門編集委員

1983年入社。甲府支局、社会部、サンデー毎日編集部、夕刊編集部副部長、前橋支局長などを経て、社会部専門編集委員。現在、コラム「掃苔記」を連載中。人生最終盤の緩和医療・ケア、ホスピスから死後の葬儀、墓問題までを「死周期」として取材している。さらに家族問題のほか、防衛大学校卒の記者として自衛隊をテーマにした著書も多数。著書に「宮崎勤精神鑑定書」「自衛隊指揮官」「沈黙の自衛隊」「自衛隊のリアル」「これからの葬儀の話をしよう」などがある。