議員もやはり生身の人間 産休期間の明文化を

有村治子・元女性活躍・少子化対策担当相
  • 文字
  • 印刷
有村治子氏=藤井太郎撮影
有村治子氏=藤井太郎撮影

 女性議員の出産休業期間を国会や地方議会の議会規則に明記するよう求めている。国会議員も地方議員も、労働基準法が定める労働者には該当しないと整理されており、産前6週間、産後8週間の休業取得対象にならず、日本では衆参両院、ほとんどの地方議会でも休業期間の定めがない。女性の政治参画、母体保護、子育て世代をはじめとする多様な層の政治参画の観点からも、ぜひ実現したい。

「出てこない」と批判される女性議員

 「出産で公務を欠席することになかなか理解を得られない」という切実な声は、各地の女性議員から寄せられている。有権者から「あなたに票を入れ、せっかく議会に送ってやったのに、なんで公務に穴を開けるんだ」という批判にさらされている現実がある。国会議員は心ない批判にもある程度慣れてしまっているが、地方議員には本当にこたえるつらい批判だ。

 私自身も議会人になってから2人の子どもを出産した。妊娠中、私は空腹になると吐き気がする「食べつわり」が毎日続いていたが、委員会中に吐き気が出てきてトイレに走ったら、女性の先輩議員から「勤務中につわりがでるなんて信じられない」と言われた。つわりがあたかも勤務態度の怠慢から生じているような非難。17年前のことだが、流産しやすい体だとドクターに忠告されながら、懸命に仕事に臨むなかで、子育て経験のある女性の方でもこんなに理解がないのかと思い、正直、へこんだ。

 私がお伝えしたいのは、議会人だって生身(なまみ)の人間だということ。労働基準法の適用のあるなしに関わらず、生物学的な人間としての営みが尊重され、出産を軽んじない社会にしていきたい。今までは当事者であったので「自分のために活動している」と思われたくないため、このような問題提起をしにくかったが、もう私が出産することはない。後に続く女性がアンフェアな対応で政治参画をギブアップすることがないよう、「我田引水」と思われない今だからこそ動けるし、問題提起できる。

 出産休業期間を規則に明記しなければ、「なぜ議会に来ないのか」という心ない中傷を受ける。地方の女性議員はそれでなくとも四苦八苦している。男性が圧倒的大多数を占める議会活動で、女性が一人だけとなると休めない。勇気を出してSOSの声をあげること自体をためらっている。厳しい試練を一身に受けて、それで倒れると「だからやっぱり女性はダメだ」とレッテル貼りをされる。この不条理があまりにつらいと、その女性は次の選挙に出ない、あるいは次の子を出産しないと頑(かたく)なになってしまう。

 結局は子育てをする人の切実な声や感覚が議会に反映されにくくなる。不妊治療を取り巻く問題、高齢出産に伴うリスク、産後うつの問題、あるいは子育てをしながら親の介護をするダブルケアなどさまざまなライフイベントを経験し、汗や涙を流して、やっと編み出される主張には、説得力がある。やはり聞くこととやってみることは違う。そうした経験こそが、共感を呼ぶ政策や予算組み、社会を変えていく力になる。だからこのテーマは、単に若い女性だけの問題ではない。社会に対する投資だと捉えてほしい。

 どこの町にも女性は住んでいる。政治家の男女別構成比、世代別構成比を見ると、産前産後の女性、子育て中の女性は、議会に最も代表を送れていない国民の層だ。だから、まずその層が議会を志せる環境を整えたい。

この記事は有料記事です。

残り2214文字(全文3601文字)

有村治子

元女性活躍・少子化対策担当相

 1970年生まれ。2001年参院初当選。文科政務官、自民党女性局長、女性活躍・少子化対策担当相、参院自民政策審議会長などを歴任。参院比例、当選4回。自民党麻生派。