気候変動に分散自立型社会で立ち向かう

古川禎久・元副財務相
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古川禎久氏=須藤孝撮影
古川禎久氏=須藤孝撮影

 菅義偉首相が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標を表明したことは画期的だった。日本が脱炭素に正面から取り組む強い意志を世界に示した。

 超党派の議員連盟「気候非常事態宣言決議実現をめざす会」の事務局長として取り組んできた活動が実り、11月19日に衆院で、20日に参院で「気候非常事態宣言」が決議された。「非常事態」としたのは、地球温暖化は後戻りができなくなる段階まで時間が残されていないという危機感を共有したかったからだ。国会決議によって国内の機運を盛り上げ、国外に対して日本の脱炭素にかける決意を示すことができた。

再生エネでイノベーションが必要

 現在の電源構成は8割弱を火力に頼り、原子力は1割弱、再生可能エネルギーは2割弱にとどまっている。50年までに火力をなくして、再生可能エネルギーと原子力で支えるとなると、これは並大抵のことではない。

 再生可能エネルギーについてはさまざまな課題があるが、コストについては普及させることが一番の解決策だ。欧州でも風力や太陽光発電のコストは下がってきている。安定供給については地熱発電に可能性がある。地球内部の熱源がエネルギーなので、ベースロード(基幹)電源になりうる。

 ただ、現在の再生エネルギーを拡大するだけではとても届きそうにない。どうしてもイノベーションをやらざるをえない。私が国を挙げて取り組むべきだと考えているのは大深度地熱発電だ。4000メートル以上の深度に水を入れて熱を取り出す。火山地帯でなくともできる。開発に成功すれば日本、また人類にとって「逆転ホームラン」になる。脱炭素を決めた以上、腹をくくって思いきり可能性を追いかけることが大切だ。

 原発は再稼働は進めるべきだが、新増設については国民的合意が形成されているとは言いがたい。今は再生可能エネルギーの普及と新技術開発に力を入れるべきだ。

効率最優先は行き詰まり

 大量生産、大量消費、大量廃棄というこれまでの経済が現在の地球温暖化をもたらした。古い経済はもう限界だ。…

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古川禎久

元副財務相

 1965年生まれ。建設省、国会議員政策担当秘書などを経て、2003年衆院初当選。法務政務官、環境政務官、副財務相などを歴任。北朝鮮拉致問題特別委員長。衆院宮崎3区、当選6回。自民党。