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尹検事総長を大統領候補に育てた「三つのブーメラン」

堀山明子・外信部デスク
検事総長の任命式が行われた2019年7月25日、青瓦台での文在寅大統領(左)と尹錫悦氏=青瓦台提供
検事総長の任命式が行われた2019年7月25日、青瓦台での文在寅大統領(左)と尹錫悦氏=青瓦台提供

 韓国で検察トップの尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長が、2022年3月の次期大統領選候補として急上昇し、与党候補とトップ争いをする異常事態が起きている。出馬表明もしていないのに、待望論が広がっているのだ。

 尹氏は12月中旬、政治的中立を損ねたなどとして停職2カ月の懲戒処分を受けたが、これを不服として秋美愛(チュ・ミエ)法相を相手に処分取り消し訴訟を起こして係争中だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領から任命を受けたにもかかわらず、政権と全面対決するモンスター的存在になってしまった尹氏。存在感が増した契機は3回あったが、それらを作り出した文政権側に負の効果をもたらす「ブーメラン現象」となっている。その経緯を追った。

7年前にも冷や飯、エールが拡散

 「汚れて惨めでも、耐えてください」

 11月24日夕方、秋法相が尹検事総長に対する懲戒処分を請求すると緊急記者会見した直後から、インターネット上では、尹氏に向けて7年前に発信されたツイッターのメッセージのキャプチャー写真が拡散した。発信主は、曺国(チョ・グク)前法相だ。…

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外信部デスク

1967年生まれ。91年入社。静岡支局、夕刊編集部、政治部などを経て2004年4月からソウル支局特派員。北朝鮮核問題を巡る6カ国協議などを取材した。11年5月からロサンゼルス特派員。18年3月から3年間、ソウル支局長。