1月22日に発効する核兵器禁止条約は核兵器を法的に禁止するもので、核兵器のない世界を目指すという大きな目標に向けての「出口」にあたる条約として評価したい。しかし、条約には核兵器保有国が入っておらず、出口に向かっての道筋はつけられていない。
核兵器を持つ国が動かなければ現実は変わらない。保有国にこの出口までたどり着いてもらうよう、関係国が努力をしてその道のりを埋めていかなければならない。そして日本はその大きな役割を担っている。
将来の核禁条約批准は否定しない
核兵器禁止条約が出口ならば、その「入り口」に当たるのが、核拡散防止条約(NPT)体制だろう。NPTには核保有国も参加している。保有国と非保有国が協力し、核兵器の拡散を防止しながら核軍縮を進めていく。そして、その理想は核兵器の廃絶だ。政府は二つの条約はアプローチが違うと説明しているが、核兵器禁止条約とNPTが矛盾するとは決して思わない。
問題は、この入り口から出口に至るまでの道のりが大変険しいということだ。5年に1度行われるNPT運用検討会議(2015年)に私は外相として参加したが、保有国と非保有国が厳しく対立し成果文書すらまとめられないという結果となった。まさに厳しい現実を突きつけられたのだ。
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