近く、遠く

コロナ禍でも韓国人就活生が日本を目指すわけ

日下部元美・外信部記者
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ソウル市新村で日本への就職あっせん事業を行う「KOREC」の代表の春日井萌さん=2020年12月12日、日下部元美撮影
ソウル市新村で日本への就職あっせん事業を行う「KOREC」の代表の春日井萌さん=2020年12月12日、日下部元美撮影

 「貴社、御社、弊社はそれぞれ何が違う?」

 「貴社は書く時に、御社は話す時に(使い)、弊社は自分の会社のことです」

 講師の問いかけに、20代の男女1人ずつがこう答えた。学生街の一角で毎週土曜の午後、日本人講師が10人程度の就職活動中の学生らにエントリーシートの書き方や就活に必要な知識を教えていく。日本企業に就職するためのよくあるセミナーの風景だ。私も7年前に受けたことがある。

 ただ、ここはソウル。受講生は全員韓国人だ。近年、日本への就職を希望する学生が急増していると聞き、私は2020年12月、ソウル市新村で日本への就職あっせん事業を行う「KOREC」を訪れた。KORECでは、韓国人就活生たちに日本企業の採用情報を提供したり、就活に関する教育などを行ったりしている。

 韓国産業人力公団によると、15年に韓国から日本企業に就職した人は632人だったのに対し、19年は2469人と4倍近く増加した。徴用工問題や日本の対韓輸出規制などで両国関係は国交正常化後最悪と言われているうえ、20年は新型コロナウイルスの感染拡大で両国の民間往来は激減した。それでも日本への就職希望者は減っていないという。

 なぜ韓国人は日本への就職を目指すのか。就活生を取材すると、韓国の厳しい競争社会と日韓の就活事情…

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日下部元美

外信部記者

1991年東京都生まれ。2014年入社。北海道報道部を経て、2019年5月から現職。2020年6月から韓国・ソウルに語学留学中。現在に至るまで担務の傍ら性的少数者(LGBTなど)や障害者など社会的マイノリティの取材を続け、旧優生保護法下の障害者らに対する強制不妊手術問題を扱ったキャンペーン報道『旧優生保護法を問う』の取材班に参加した。好きな物は映画と漫画。Twitter @MoKusakabe