コロナ社会を考える

地方はコロナ禍をチャンスに 「自己卑下」脱した地域振興を

片山善博・元総務相
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片山善博氏=本人提供
片山善博氏=本人提供

迫られた社会変革

 新型コロナウイルスの猛威は、いや応なしに社会の変革を迫った。人と人の接触が制限され、経済が停滞し、多くの人が困難を強いられた負の面は大きい。しかし、マイナスばかりではない。この変化に対応した技術や「ニューノーマル」は新しい社会を生み出す。特に地方にとってコロナ禍はチャンスにもなり得るはずであり、プラスの面を伸ばす意識が大切だ。

 コロナ禍で最も変わったと思われるものの一つは働き方だ。発達した通信環境やオンライン会議アプリなどにより、リモートワークが進んだ。私が大学院で行う授業も教室からオンライン方式に変わった。システムに習熟するまでは七転八倒の苦労を重ねたが、軌道に乗ると意外に利点が多いことに気づく。社会人の学生が職場からも出席できるし教材の共有も簡単だ。授業の出席率は向上し質問も増えた。授業に出席できなくても、授業の動画はアーカイブ化され、いつでも視聴できる。距離も時間も制約なく授業ができる環境は整ったのだ。院生からはコロナ収束後も続けてほしいという要望もある。

 企業でも在宅勤務やリモートワークが進んでいる。「チームワークがとりにくい」「仕事の評価が心配」などネガティブな意見もある一方で、家で自分のペースで仕事をすることにより、かえって生産性が上がる面もあるようだ。通勤時間や通勤費がなくなり、満員電車の苦痛からも解放されよう。地方移住のインセンティブは確実に上がっている。

解消される距離のハンディキャップ

 オンラインによる働き方の変化は、全てではないにせよ、一定程度、ニューノーマルとして定着するだろう。リモートワークの定着により、都心(=会社に近い)以外に住む選択肢が広がる。わざわざ物価が高い都会に住む必要はないし、家族と一緒に過ごす時間が増えたり、趣味に費やす時間が増えたりすれば、生活の豊かさも広がる。

 会社も都心に本社を置かない判断も出てくるだろう。人材サービス大手「パソナグループ」が本社機能を淡路島に移転させるとの発表はインパクトがあった。さらに、製造業の工場すら業種によっては必要なくなるかもしれない。

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片山善博

元総務相

 1951年生まれ。旧自治省(現総務省)退官後、99年鳥取県知事選で初当選し、2期務めた。旧民主党政権で総務相に就任。慶応大教授を経て2017年から早稲田大教授。