Social Good Opinion

無関心な人の数が増えることもポジティブに捉えてみる 私なりの社会課題への向き合い方

長島遼大・「みんな電力株式会社」社員
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長島遼大さん=みんな電力スタッフ撮影
長島遼大さん=みんな電力スタッフ撮影

Z世代だから社会課題に関心が高いのか?

 このような問いに対して、私はいつもNoと答えています。その理由は二つあります。

 一つは、Z世代=社会課題に取り組むというレッテルに、Z世代の私たちが苦しまないためです。私自身、社会課題を解決することが人生の目的ではなく、解決された社会で豊かに暮らすための方法を日々探りたいと思っています。

 もう一つは、さまざまな社会課題に対して、世代間の捉え方に多少の違いはあるものの、無関心という以前に、そもそも課題自体を知らないだけではないか?という仮説です。

 情報量に関しては、年齢を重ねることで増やしていくことはできます。

 そのため、置かれている立場で必要な分野の知識はたくさんあるはずです。しかし、コミュニティーが固定化されることで、関係のない分野の知識に触れることが少なくなり、情報の幅は狭まっていきます。

 対して、デジタルネーティブな私たちは、そもそも立場というものがあまりはっきりしていない上に、いろいろな情報に触れる機会が多くあります。つながっている友達や好きな芸能人が自分の考えを当たり前のように発信するような流れも加速しているため、結果的に情報に幅があり、“当事者意識”の有無に関わらず、認知する機会が多いという理由から、関心が高まっているのではないかということです。

 この仮説をもとに考えられることは、認知をする機会さえあれば、より多くの人が行動を起こすのではないかということです。そのため、日々の暮らしの中で、自然と情報の幅を広めていくことができれば、世代に関わらず、もっと多くの人たちと一緒に課題に取り組めるのではないかと考え、ここに大きな可能性を見いだしました。

 これらをふまえた上で、少しだけ私の活動を紹介させてください。

顔が見えるということ

 学生の頃、福島県の有機農家さんを訪ねる機会がありました。震災後も思いを持って農業を続けている方でした。そこで振る舞ってくれた料理が全てその農家さんの畑で取れた食材で作られていて、本当においしかったんです。

 この体験を通じて、自分が使うものや食べるものがどんな人がどんな思いでどのように作っているのかを知ることの豊かさを知りました。それから、この豊かさをより多くの人に実感してもらいたいという思いで、現在はエネルギーと農業という分野で生産者と消費者をつなぐ活動をしています。

お客さんと一緒に発電所を訪問するツアー=みんな電力スタッフ撮影
お客さんと一緒に発電所を訪問するツアー=みんな電力スタッフ撮影

 エネルギーに関しては、みんな電力株式会社で働いています。「顔の見える電力(TM)」というコンセプトのもと、自然エネルギーの生産者の顔をお見せして、例えば福島の復興のために活動されている方や、日本の林業の課題を解決しようと活動されている方を毎月の電気代を通じて応援しませんか?という提案をしています。

 農業に関しては、横浜産のおいしくて安全な野菜の選択肢を増やすことを目標に、横浜市旭区にあるえんちゃん農場と連携して、農家から野菜を購入できたり、畑に集まった人たちみんなで野菜を育てて交流する機会を作っています。また野菜の種を残すプロジェクトや、障がい者施設との連携といった広がりも見せています。

えんちゃん農場パートナーズDAYの様子=筆者撮影
えんちゃん農場パートナーズDAYの様子=筆者撮影

多様な選択肢があることを伝えたい

 エネルギーにも農業にも多くの課題はあります。

 例えば、エネルギーの分野は、「地球温暖化」という課題に大きく関係しています。温暖化の原因の一つである温室効果ガスの排出の9割は二酸化炭素であり、その93%はエネルギー起源です。つまり、化石燃料の使用を大幅に減らすことが必要となります。しかし、日本が現状掲げている目標は30年度の電源構成を自然エネルギー22~24%、原子力20~22%、火力56%となっており、充分であるとは言えません。鍵を握るのは、政府が進めているエネルギー基本計画の2021年改定です。<原発再稼働は、CO2削減は…エネルギー基本計画 21年改定へ議論開始

 この計画によって、私たちの未来は大きく変わってくるため注目する必要があります。ATO4NENというサイトでは、このエネルギー基本計画に市民の声を届けるために署名を集めています。

 農業の分野では、例えば、種苗法が改正されてこの4月から施行されます。<農作物「自家増殖」制限 取材で浮かんだ農水省「種苗法改正案」説明の「矛盾」> 。改正のポイントとしては、(1)海外流出や特定地域以外での栽培を制限する(2)登録品種の自家増殖を許諾制にする――ということですが、優良品種の海外流出を防ぐ一方で、農家の負担が増えるという考え方もあります。

 私自身は生産者を応援したいという気持ちからその分野への関心が広がり、さまざまな課題に対しても取り組むようになりました。ただ個人の思いとしては、課題の認識よりも、まずはもっとたくさんの人に、毎日の暮らしの中で一番身近な電気と食にも、多様な選択肢があることを知ってもらいたいと思っています。その上で、課題を認識した時に取り組もうとするかどうかはその人自身の判断です。誤解を恐れずに言えば、“無関心”な人の数ももっと増やしていきたい、そう考えています。

生産者に思いをはせる

 少しでも興味を持ってくださった方は、いま使っているスマートフォンの電気はどんな人がどんな方法で作った電気なのか考えてみてください。また、今朝食べた野菜の生産者の顔を思い浮かべてみてください。生活をちょっと変えることで、生産者の顔が思い浮かぶようになり、選ぶことが応援している気持ちになっていくと、きっと生活が豊かになっていくと思います。

 最後に、さまざまな取り組みを行っているZ世代の仲間へのメッセージで締めさせていただきます。

 目の前の人の意識を変えるということに頭を悩ませすぎず、まだ伝えられていない人たちに声を届けることに注力していきましょう! 私に協力できることがあればできる限り力になりたいし、一緒に取り組むことでより面白い広がりが生まれそうだったらぜひ声をかけてください。私一人にできることは限られているからこそ、皆さんの取り組みを応援しています!

長島遼大

「みんな電力株式会社」社員

 1995年、横浜市生まれ。大学卒業後、環境問題を学ぶため13カ国をまわり、5カ国でボランティア活動を行う。帰国後、2018年12月みんな電力株式会社に入社。再生可能エネルギーの利用を普及させるため、生産者と消費者が直接会える「発電所ツアー」や、再エネ利用企業と社会貢献意欲の高い学生のマッチングを目指す就活イベント「電力就活」といった様々な企画を担当。休日は、有機農家と共に立ち上げた〝畑を中心とした新しいコミュニティー団体〟の活動を通じて、地元横浜市で農業を行う。