コロナ社会を考える

コロナ禍にこそ文化芸術は不可欠だ

浮島智子・元副文部科学相
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浮島智子氏=手塚耕一郎撮影
浮島智子氏=手塚耕一郎撮影

 コロナ禍で公演や展覧会の中止が相次ぎ、文化芸術関係は観客も演じる側も裏方もみな大変な思いをしている。いろいろな方から苦境を聞き、対策に奔走している。

 そのなかで、私の友人で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルである平野亮一さんと話す機会があった。英国でも舞台は中止になっており「大変でしょう」と言ったら「充実している」という。ロイヤル・バレエ団は8割の給与が保障されているため「勉強ができているから次のステージが楽しみだ」と言う。思い起こせば、私もバレエの現役時代、夏休みがあり、給料をもらいながら次のステージのための勉強をする時間があった。

 ところが、現在の日本はまるで状況が違う。ステージがなくなり、食べるのも大変で、みんな疲弊していて次の勉強どころではない。公演がなくなると給料がなくなる。音響、照明などの裏方もみな同じだ。特にフリーランスは、公演がなくなれば次の日から収入がゼロになる。食べることもできないという声が非常に多かった。

 演者や裏方以外でも、たとえば能で使う鼓を作る職人は非常に少なくなっている。ところが舞台がないから仕事がない。材料の皮も仕入れられない。このままでは本物の鼓が作れなくなってしまう。日本の伝統文化芸術を守るならば、鼓や三味線などの道具も守らなければ、10年、20年たった時に「音が違う」ということになってしまう。

 どうしても支援が必要だという思いから財務省と文化庁にかけあったが、財務省は最初はまったくダメだった。「なぜ文化芸術に特別に支援が必要なのか、困っているのはみんな同じで、特別定額給付金を出し、持続化給付金も家賃補助もある、全員にやっている」と言われ、話にならなかった。

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浮島智子

元副文部科学相

 1963年生まれ。2004年参院初当選、12年衆院初当選。文部科学政務官、環境政務官、副文科相などを歴任。香港ロイヤルバレエ団、米国デイタンバレエ団でプリマバレリーナを務める。公明党文化芸術振興会議議長。党文部科学部会長。参院当選1回、衆院当選3回。比例近畿。公明党。

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